ベトナムは「インデックスファンド」と決別 | ホーチミン市(旧サイゴン)在住・証券アナリストのタイ株、ベトナム株、日本株ブログ

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ホーチミン市(旧サイゴン)在住の証券アナリスト・竹内浩一が、ベトナムを中心に世界の金融市場を見渡すブログです。

「インデックスファンド」とは、ファンドの基準価額がある指標(インデックス)と同じ値動きを目指す運用をする投資信託のことです。「インデックスファンド」はCAPM(資本資産評価モデル)で最良のポートフォリオとされ、米国や日本では一世を風靡しました。

 しかし、ベトナムの国家証券委員会(SSC)はVNインデックス(ベトナムの代表的株価指数)にトラックする(同じ値動きを目指す)ファンドの設定を証券法33条に違反するとして禁止することになりました。市場の変動性(ボラティリティ)を高めるというのがその理由です。

 ベトナム投資開発銀行(BIDV)のアナリストは「インデックスファンドは株価指数を一つの商品かのように捉える奇妙な投資法で、VN指数にトラックする投資信託への投資はギャンブルと同じようなもの」との見解を示しています。確かにインデックスファンドは個々の株式のファンダメンタルズは考慮しません。判断に使用するのは各証券のインデックスに対する値動きだけです。

 1987年10月の「ブラックマンデー」の際には、この「インデックスファンド」「ポートフォリオインシュランス」が暴落の犯人(原因)とされました。

 しかし、ベトナムのような新興国に投資する場合にはインデックスファンドはリスクを分散するための良い投資手法だったのかもしれないとも思われます。なぜなら、企業情報公開(ディスクロージャー)の乏しいベトナムではいまのところファンダメンタル分析が十分にできない企業も多いからです。

 もっとも、1980年代後半の日本では分散投資で低リスクだということを「花(セールストーク)」に多額の「インデックスファンド」の販売が行わましたが、その後20年間の運用結果は果たしてどうだったか、を考えるとベトナム国家証券委員会の考えは現代投資理論よりも合理的(?)といえるのかもしれません。