ベトナムの「ナンバー1」ブランド | ホーチミン市(旧サイゴン)在住・証券アナリストのタイ株、ベトナム株、日本株ブログ

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ホーチミン市(旧サイゴン)在住の証券アナリスト・竹内浩一が、ベトナムを中心に世界の金融市場を見渡すブログです。

 昨年12月、スーパーブランドオーガニゼーション社(ロンドン)はベトナム人の選ぶベトナムで人気のトップ10ブランドを発表しました。

 第1位は「サムソン」、第2位は「ソニー」、そして第3位、第4位はそれぞれ地元ベトナムから乳業会社の「ビナミルク」、通信会社の「ベトテル」が選ばれました。また、第五位、第六位は同得点でフランスのスーパーマーケットチェーン店の「ビッグC」と日本の「東芝」でした。第七位以下は「ホンダ」、「ノキア」、「LG」、「KFC」と続きます。

 このトップ10ブランドはニールセン社が昨年11月2日から16日に実施した消費者1000名の調査に基づくものです。

 強いブランドは「信頼感」、「親しみ感」、「一体感」の一種の記号としてリピーター購入者を増やすため、高い価格設定が可能になります。例えば、女性にはお馴染みの「シャネル」、「LV(ルイヴィトン)」、「エルメス」などはその強いブランド価値が商品価格に上乗せされています。

 10年前のベトナムにはほとんど海外からの輸入品は入ってこなかったし、自国製品の種類も少数でした。しかし、現在のベトナムの消費者にはある程度の商品購入の際の選択の幅ができました。今後、更に消費者に商品の選択の幅が広がったときには商品の品質への信頼等を表すブランドはますます重要になるだろう。
 
 通信会社は各国毎にあるので別にして、ビナミルクについて書くと、ビナミルク(VNM)はベトナムの乳製品市場のシェア75%を持つ乳業最大手です。主要背商品はベトナムコーヒーに欠かせないコンデンスミルク、牛乳、粉乳、ヨーグルト、アイスクリーム、果汁ジュース、豆乳、ミルクコーヒー、離乳食など約200種で総売上の95%以上を乳製品が占めています。

 上記のように強いブランド力を持つところが強みです。反面、私は、元国有企業で他企業の乳業参入を許さなかったために、逆にベトナムの乳業が育たなかったという面もあると思います。つまり、外資系以外の国内他企業は独占された乳業に手が出せなかったわけです。そこに、ベトナムでの乳製品価格が高い根本的な要因があるような気がします。他の国内乳業企業が育たない、根本的に乳牛の数が少ないなど。市場経済の働かなかったところに微妙な歪が出ています。

 但し、強い「ブランド力」を持つ同社は今後の企業戦略を優位に展開することが可能だと思います。但し、それには重要な課題があると思います。それはベトナム企業全般に言えることでもあるのですが(同社が元国営企業だったためか)投資情報のディスクロージャー姿勢が劣悪なことです。政府の価格統制への対応など経営上微妙な問題が山積みなのでしょうが、情報ディスクロージャーは海外からの投資家を引き付ける重要な要因であり、強いブランド力を持つ有望企業だけに今後の改善が期待されます。