「人民元がドル、ユーロ、円よりも流通する通貨になる可能性がある」(チャイプラワット副首相) | ホーチミン市(旧サイゴン)在住・証券アナリストのタイ株、ベトナム株、日本株ブログ

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ホーチミン市(旧サイゴン)在住の証券アナリスト・竹内浩一が、ベトナムを中心に世界の金融市場を見渡すブログです。

 タイは世界最大のコメの輸出国です。しかし現在、タイのコメ農家にはかつて日本の生糸やコメ農家に起こったのと同じ問題が起こっています。

 ピンと来た方も多いでしょう。それはコメ農家への助成金の問題。米品種によって多少違いがあるものの、政府はコメ1トン当り約12,000バーツを農家に支払っている計算になります。結果、タイ米の国際競争力はダウン。タイ米は1トン当り約550-560米ドル。一方、ライバルのベトナム米は1トン当り400~420米ドルです。

 こうした政府のコメ市場への介入が、国内米価を歪めています。政府介入で国内米価が人工的に高値維持されるため、高値での売却を狙った農家の米作付け面積が、今収穫期は45万ライも拡大しました。需給悪化で本来下がるはずの米価は、価格介入で高値を維持。市場メカニズムが働いていません。政府余剰米(コメ在庫)も急増。コメ在庫は年間生産額の1/3以上の900万トンを超えています。コメ助成金は血税ですので、財政悪化要因にもなります。

 米価維持は政府・消費者・納税者にとって良いことは全くないのです。長い目でみれば生産者(コメ農家)にとっても良くはないのは、日本の生糸やコメ農家の運命をみればわかります。補助金・助成金はあくまで最小限が理想です。

 同様のことを米国政府にもいいたいところです。値段が付かず損失額すらわからないもの(CDSなど)に投資していた「ゾンビ企業」に、いくら高いお薬(資金注入)を処方したって無駄というもの。日本のバブル崩壊時に日本政府の資金注入に対して「モラルハザード!」と声高に叫んでいた米国人は一体どこにいってしまったのでしょうか。

 本日(18日)のバンコクポスト紙ビジネス面1面には「人民元への評価が急騰」と出ています。このままだと10年後には、人民元が基軸通貨に取って代わる可能性も頭の隅に入れておいたほうがいいかもしれません。特にインドシナでは。

写真は本日のバンコクポスト紙ビジネス面1面
「人民元がドル、ユーロ、円よりも流通する通貨になる可能性がある(オーラン・チャイプラワット副首相談)」



PS
バンコクポスト紙5面によると、現在、チャオプラヤ川の水位が平均よりも1.35メートル高くなっているようです。昨日はチャオプラヤ川沿い地域では洪水の被害も発生。また、昨日時点でホーチミン東海上に台風もあり、西(つまりカンボジア方面)へ向かう可能性があるとのこと。タイ・イサーン方面在住の方は注意。ただ、先ほど弊社ホーチミン支部に連絡してみると、ホーチミン市は台風の影響は「ほとんど無し」とのことでした。

写真はバンコクポスト紙5面
「洪水のなか生卵を安全な場所に移動させている女性」