非常事態宣言のバンコク市内 | ホーチミン市(旧サイゴン)在住・証券アナリストのタイ株、ベトナム株、日本株ブログ

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ホーチミン市(旧サイゴン)在住の証券アナリスト・竹内浩一が、ベトナムを中心に世界の金融市場を見渡すブログです。

 本日未明(2日午前1時頃)に、昨日ブログに書いた政府擁護組織「UDD」が政府庁舎近くで反政府組織「PAD」を襲撃。死者1名、負傷者40名以上の事態となりました。


 混乱は、軍や警察によって現在は沈静化したもの、これを受けて報復合戦による事態の拡大化を防ぐために、サマック首相は2日午前7時(日本時間同日午前9時)に非常事態宣言を発令しました。これにより「5名以上の集会の禁止」「報道の検閲」等が行われることになりました。


 非常事態宣言により、軍が政府庁舎近辺のPADデモ隊を実力排除することが法的には可能になる一方で、抵抗するPADの反政府活動が更に急進化する懸念も顕在化。ただ2日午前時点では、軍による強硬策はとられておらず、バンコク市内には大きな混乱は起きていません。


 在タイ日本大使館は、緊急EメールやNHKワールドなどのメディアを通じて「タイに渡航・滞在される方は、報道等から最新情報の入手に努めるとともに、首相府等の政府機関や集会、デモ等には近づかず、不測の事態に巻き込まれないよう引き続き十分注意が必要」と邦人に注意喚起しています。


 サマック首相は今日午前9時、国軍司令部で記者会見を行い、非常事態宣言を90日間継続するとの考えを示しています。


 また本日の「バンコクポスト紙」1面では、43の国営企業労働組合がサマック退陣を求めるPAD支援のため、明日3日から全国規模のストライキを実施すると出ていました。


 国営企業労働組合は、「国営企業民営化」を強力に推し進めたタクシン元首相への怨念があります。したがって反タクシン派のPADと歩調を会わせるのに躊躇いはありません。


 43の国営企業労働組合には、タイ発電公社、首都水道公社、タイ通信公社、タイ国際航空労働組合、バンコク・マストランジット・オーソリティ、ガバメント・セービングス・バンクなどが含まれています。


 具体的には、全国の政府施設、警察施設への電力・水道供給をストップするほか、閣僚の自宅の電話を使用不能とする模様。また航空機の離着陸を遅延やバンコクでは路線バスの80%運休もあり、市民生活に大きな影響を与えることになりそうです。


 一方、市場を見ると、午後13時40分(日本時間同日午後15時40分)時点でSET指数は12.21ポイント(1.81%)安い、663.01ポイントで推移しています。