「サマック政権VS市民民主連合(PAD)」は「小泉政権VS反対勢力」? | ホーチミン市(旧サイゴン)在住・証券アナリストのタイ株、ベトナム株、日本株ブログ

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ホーチミン市(旧サイゴン)在住の証券アナリスト・竹内浩一が、ベトナムを中心に世界の金融市場を見渡すブログです。

 弊社の本社スタッフが「市民民主連合(PAD)って今ひとつイメージがわかない。そういう日本人は多いのでは」というので、私なりの解釈を書いてみます。


 PADとは「反タクシン派」の連立組織で、2006年2月8日発足。中心人物はメディア王のソンティ・リムソンクル氏、政治家のチャムロン・スリムアン氏、軍部のサプラン・カラヤナミット将軍など。当初は主に、都市部の中産~上流階級の支持を集めました。


 その後、タクシン政権の急速な改革に反対する王室、仏教、大学関係者、公務員などに同調者が現れて勢力を拡大。2006年にはソンティ氏の影響力のもと、メディアで激しい反タクシン政権キャンペーンを展開し、同年9月19日のタイ軍部による無血クーデターの下地を作りました。


 クーデター後の軍事政権下では一時活動を中止しましたが、昨年12月23日の総選挙でPPP(市民の力党)中心の連立政権が発足すると、PADは再始動。今年5月下旬から、反政府マラソン抗議集会に入っています。


 「アジア通貨危機」でボロボロになったタイを、タクシン元首相が小さな政府、規制緩和、大型公共投資など大胆な経済政策で内側から改革したのですが、あまりに急進的だったために、既得利益層の反感を買ったようです。


 例えば、タクシン政権が進めた「通信放送公社」「電力会社」など国営企業の民営化に、国営企業従業員組合などは強く反対しました。今回のPAD反政府集会にも、その国営企業従業員組合は強く関わっています。


 日本の政治に例えると、「小泉政権VS反対勢力」のタイバージョンと言えるかもしれません。タイのほうが若干荒っぽいかもしれませんが、ニュアンスとしてはこれに近い。ただし、どちらが善玉か、悪玉かという意味ではありません。


 それにしても、在任中にスキャンダルがほとんどなかった小泉元首相と異なり、タクシン元首相にはダーティーな噂が絶えないことも、熾烈な反政府運動の原因になっているようです。