宇宙(9)
西洋にギリシャ神話があるように、 日本にも国作り神話があるのをご存知だろうか。 古事記、 日本書紀にしっかりと描かれている。 ギリシャ神話、 それは、 古代ギリシアの諸民族に伝わった神話・伝説を中核として、 様々な伝承や挿話の要素が組み込まれ累積してできあがった、 世界の始まりと、 神々そして英雄たちの物語である。 古典ギリシア市民の標準教養として、 更に古代地中海世界での共通知識として、 ギリシア人以外にも広く知れ渡った神話の集成を言う。
ローマ神話の体系化と発展を促進し、 両者のあいだには対応関係が生み出された。 またプラトーンを初めとして、 古代ギリシアの哲学や思想、 そしてヘレニズム時代の宗教や世界観に影響を与えた。 キリスト教の台頭と共に神話の神々への信仰は希薄となり、やがて西欧文明においては、古代人の想像の産物ともされた。 しかし、この神話は古代の哲学思想だけでなく、 キリスト教神学の成立にも大きな影響を与えており、 西欧の精神的な脊柱の一つであった。 中世を通じて神話の生命は流れ続け、 ルネサンス期、 そして近世や近代の思想や芸術においても、 この神話はインスピレーションの源泉であった。
一方、 日本の神話、 それは、 天孫降臨(てんそんこうりん)で始まり、 アマテラスの孫であるニニギが、 葦原中国平定を受けて、 葦原中国の統治のために降臨したという説話である。
アメノコヤネ、フトダマ、アメノウズメ、イシコリドメ、タマノオヤの五伴緒(いつとものお)を従えさせ、 天降りをすることになった。 さらに、三種の神器(八尺瓊勾玉、八咫鏡、草薙剣)と常世のオモイカネ、タヂカラオ、アメノイワトワケを副え、「この鏡を私(アマテラス)の御魂と思って、私を拝むように敬い祀りなさい。オモイカネは、祭祀を取り扱い神宮の政務を行いなさい」(「邇邇藝命者 此鏡者同我御魂 欲祭此者 當如拜吾前 尊崇而祭之 次 思金神者 取持前事 輔其為政」『古事記』)と言った。
アメノオシヒとアマツクメが武装して先導した。 アメノオシヒは大伴連らの祖神である。アマツクメは久米直らの祖神である。 ニニギは「この地は韓国(からくに)に向かい、笠沙(かささ)の岬まで真の道が通じていて、朝日のよく射す国、夕日のよく照る国である。 それで、ここはとても良い土地である」(「此地者 向韓國 有真之道通笠紗之御前 又此地者 朝日之直刺國 夕日之日照國也 故 此地甚吉地也」『古事記』)と言って、そこに宮殿を建てて住むことにした。
天孫降臨の地としては、九州南部の霧島連峰の一山である「高千穂峰」と、宮崎県高千穂町の双方で、古くから天孫降臨の言い伝えがある。 ただ、高千穂峰の場合は山の名称だけで付近に「高千穂」の地名が無いため、「宮崎県高千穂町の周辺が正しい」と見る向きもあるが、実際のところは、どちらの場所が正しいかははっきりしていない。 なお高千穂町には、アマテラスが隠れていた「天岩戸伝説」もあり、 実際にその伝説の洞窟も現存する。 ※注記.天岩戸伝説は高千穂町以外にも複数あり、必ずしも高千穂地区に限定されたものでは無い。 記紀によれば天の岩戸の洞窟は高天原にあり、天孫降臨後の場所にはない。
ギリシャ神話と日本神話をここに紹介する理由は、 今こそ人間の辿ってきた歴史をじっくり振り返り、 この世の中の向うべき方向性を各人が自らの頭で考えるべきときと思量するからである。
悠久の昔、四季折々の変化に富む自然風土の中に神々の存在を見い出した日本人は、 家郷の村々に神々を祀り、 今日に至るまで連綿と祭りを続けてきた。 こうして祀られた神社は、全国津々浦々に約八万社を数え、 それぞれの地域で氏神さま(鎮守さま)として親しまれている。 氏神(鎮守)とは、主として地域の守り神を意味する。 また、氏神の神恩を戴いて生活している地域住民すべてを氏子という。 ここには、 近所隣の人々が神社を中心につながっており、 人間としての尊厳が保たれていると考える。
因みに、 神社の数は、 平安初期の「延喜式神名帳」に載せられた神社が2861社で、実数はその5倍だといわれている。 明治39年に約19万3千社、 その後町村合併などにより、 神社も合併されたものがあり、 現在はおそらく8万社前後であると推定されている。
― - - つづく