中国紀行文(16)― 8月8日(土曜)
本日がいよいよ今回の中国旅行のクライマックスである。 早朝に起床し、 タクシーで吉林省延吉市のバスターミナルに向った。 大型バスに次々と観光客が集まって来た。 午前6時30分頃の出発で、 長白山に向った。 最後の目的地ということで、 期待感で胸は一杯になっていた。 道中も食い入るように景色を眺めた。 どんどん高地に上がって行く感じであった。 豊かな自然の中を突き進んで行く中で、 橋に差し掛かり、 下に渓流下りをしている光景を目にした。 素晴らしいと心の中で独り言ちた。 また、 別荘のようなログハウスも見えて来た。 美しい風景の中を延々と進んで行き、 この道中は奥の院・長白山に通じるロングアプローチといった風情であった。 所要時間は5時間を越えるため、 当初どんどん山頂に向っていると思っていたが、 実は長白山自体は遠方に位置しているということがわかった。 しかし、 私にとってこの道中は遠方への移動ではなく、 やはり奥の院に通じるアプローチであった。 そして、 ようやく長白山の門に辿り着いた。 ここで昼食を摂り、 門を潜って別の大型バスに乗り換えることになった。 ここからはショートアプローチで登山口に着いた。 登山のチケット売り場で大事件が勃発した。 ポイントのみ書く。 問題は、 1)長白山への観光が急増したため、 「登山のチケット売り場」でのスムーズな対応システムができていなかった。 2)中国人のマナー教育が不十分。 例えば、 上海の地下鉄乗車の際と同じ問題が起きた。 つまり、 列をなして、 整然と順番を待つことができない。 3)問題の発生内容: 順番待ちが乱れ、 人が殺到し、 血を見る乱闘が始まり、 チケット売り場のガラス窓が壊され、 チケット販売がストップした。 詳細は不明だが、 この時点でチケット販売完全ストップ、 中国人パートナーは購入を終えていたが、 私のチケットはまだだった。 状況がわからないまま、 私は前へ進み続けた。 勿論、 チケット販売が完全ストップしているのもわからないまま。 その前進方法は異様である。 一応スムーズに登山者が並べるよう、 スチールのバーで仕切ってあるのだが、 身体ひとつ潜れるようなそのバーをひとつひとつ軟体人間のようになって潜り抜けていくのである。 しかし、 私はチケットを購入していないため、 全てのスチールのバーを潜り終わったとしても登山はできないのである。 大きなリュックサックを背負い、 途中で引っかかりながら狭いスチールのバー潜りを繰り返していたとき、 ある女性から声がかかった。 「私はもう登山を断念するため、 このチケットを買いませんか。」と。 この女性はチケットは購入しているものの、 このスチールのバー潜りが余りにも厳しいため、 登山を断念したのである。 私にとっては、 この誘いは「神の声」であった。 このチケットが偽物ではないことを確認し、 購入した。 優に1時間以上、 このスチールのバー潜りを繰り返し、 通り抜けることができた。 このスチールのバー潜りの中でも温かい人間的なことを感じる局面もあった。 このスチールのバーにリュックサックがひっかかり、 身動きができないとき、 手を貸して助けてくれる人がいた。 本当に喧騒の中のドラマであった。 いよいよ登山できるようになっても、 今度はジープに乗り込む必要があった。 この乗車はまあまあスムーズに出来た。 いよいよ山を登り始めた。 結構急斜面である。 しばらく登ると、 乗車客の中で安堵の会話が始まった。 私の目の前に北京から来ている中学2年生の女の子がおり、 教科は何が好きか等雑談をした。 お互い打ち解けて、 私の名刺を渡す等して、 他の中学生仲間も我々の話しに参画し、 和気藹々と楽しく頂上に向って行った。 頂上は絶景であった。 詳しくは、 掲載写真を参照願いたい。 湖の写真の中で向こう側に見える白い道のようになっている処は北朝鮮側である。 いつまでもそこに留まっていたくなるような自然の新鮮な気が満ち満ちていた。 最後に私の観光バスグループでも3分の1は登山できていなかったことを付記しておく必要がある。 また、 その登山ができていなかったグループから旅行会社を責める批難轟々の声が挙がらなかったことも。
― - - つづく













