「中国台頭の終焉」津上俊哉著(TOP POINTより) | 一兵卒のブログ

一兵卒のブログ

呑んで食って遊んで
呑まれて食われて遊ばれて
日々是好日

ビジネス書を4ページに
要約する情報紙、「TOP POINT 」4月号より。


これ、面白かったですね。


急成長を続ける中国。

今や世界第2位の経済大国。

今後も成長を続けるのか…。

筆者は悲観的に見ています。


リーマンショック時に中国は4兆元(57兆円)の

インフラ投資。

その結果、他国に先んじて経済回復。

然しその結果、政府系企業が民間を圧迫。

その肝心の政府系企業も重債務に苦しむ状況。

これが問題のようですね。


中国のGDPは2011年には毎期9%台の増加を

示していたが

12年に入ると8.1%、7.9%、7.4%と低下。

中国の統計はあてにならないので

実質は5%さえ割り込んでいる虞。


この急減速の要因。

先の4兆元投資は、インフラ中心の投資拡大策。

道路や鉄道などの交通インフラ投資

→不動産投資を誘発

→鉄やセメントなどの素材産業も活況。

結果、インフラ・不動産・製造業まで

爆発的な投資ブーム。

11年のGDP9.2%のうち、5%は投資が牽引。

12年も同規模の投資を実行できれば

成長できたが限界に。

地方政府がこの3年間に行った投資は

10兆元以上。

これは5~7年分の投資を先使い。

更に地方政府配下企業などは

すでに借入金の償還期が到来。

インフラ投資は回収に10年以上を要する中、

借り換えなしでは償還ができない重債務状態に

陥っている。


中央政府は強大な信用・財政力で後ろ盾を行うが

再生には投資スローダウンが必要。

抜本的に投資依存成長の思考形式を

改める必要がある。

中国は長期的な健全性確保のため

低成長という短期の苦痛を我慢できるか。


一方、中国の物価上昇は顕著。

賃金・物価の上昇を上回る生産性・付加価値の

向上をさせなければ、

名目GDPや賃金は上昇しても

物価上昇に成長が食われて実質的な成長は
ストップ。

それを回避するには

生産性、付加価値の向上させる新たな努力が

必要になる。

これが「キーポイント」!

然し中国の複合的な問題点もここにある。


中国の経済モデル「国家資本主義」の特徴

①政府・国有企業が多い

②経済活動のジャッジに政府が

 許認可権限、莫大な予算、さらには土地の配分権まで

 他国に見られない強大な経済権限を掌握。

③政府がジャッジのみならず自らが

 プレイヤーであり、重厚長大産業、金融・通信など

 多くの産業を国有企業が独占。

 

分かりますね。

今の中国は非効率な政府系企業・国営企業が跋扈、

経済の中心を独占。

民間企業は衰退。

(「国進民退」)

生産性・付加価値を高めないと行けないときに

この構造的な問題は大きい…。


国有企業が銀行から借りている金利を

民間企業の水準に引き上げると

殆どの企業が赤字化するという…。

国有企業は共産党組織部の人事で決定、

ガバナンスは巨大すぎて働かない…。

中国は接待・贈賄に社会通念として寛容。

企業の「董事長(代表者)」「総経理(社長)」に対しては

親族関係や出身校、人脈を通じて

また一方で接待や贈り物を通じて繋がりを求める…。

そのような社会では、A社-B社間の製品競争が

コスト競争力や製品の優劣以上の力をもった

「コネ」「口利き」により罷り通るのである…。

付加価値も生産性も上がらんね…。


更に問題が。

中国は日本以上に少子高齢化が進んでいる。

2010年調査(2012年夏発表)は

出生率は「1.18」(⇔日本「1.39」)

中国の人口は20年13.7億人をピーク。
生産年齢人口は近々2015年にピークアウトするとのこと。


日本はどうか。

日本の「失われた20年」、前期と後期がある。

前期90年代~2002年、低成長の主因は

バブル崩壊後のデレバレッジ現象。

(バブルのレバレッジの逆)

2003年以降の10年は、高齢化・人口減少の影響。

2000年~2010年GDPは先進国中で

最低のパフォーマンス。

だが、一人当たりの実質GDP成長率でみると

他先進国と同等のパフォーマンス。

労働人口一人当たりの実質GDP成長率でみると

先進国中、最高のパフォーマンス。

日本の現役世代は最高の付加価値向上を実現しているが

労働人口や総人口が減少する時代に入ると

一人ひとりが頑張っても低成長にならざるを得ない。


中国もこれからこうなるんです。

日本は労働人口95年にピークアウト、

2008年にはその影響が深刻化しだした…。

中国は2011年に労働人口がピークアウト、

2020年にはその影響が出始める…。


よって中国高度成長は終焉したとのこと。

中国が米国のGDPを早ければ2017年にも

抜くとの楽観的見通しがあるが「荒唐無稽」。

仮に2020年まで5%台の成長を続けても

米国はその間も2%成長は維持。

差は僅か3%、20年経っても米国GDP3分の2がやっと。

抜けないらしいです。


いろいろと目から鱗で勉強になりました!