「朝よー!早く起きなさーい!!」
いつもの様に母の怒号が階下から聞こえてくる。
まだ、ちゃんと起きていない頭を無理やり起こし部屋を出た。
一階の居間へ着くと朝食がテーブルに二人分用意されている。姉貴のと、自分のだ。自分の分の朝食を食べ終わると同時に姉貴が居間に入ってくる。
「あら、早いわねぇ~」
「お前が遅いんだろ」
適当にあしらって洗面台に向かう。
後ろから「お姉ちゃんに対してお前とはなんだー!」という声がしたが、聞こえない振りをした。
その後、作業のように顔を洗い、服を着替え、鞄を引っ掴み、時計を見る。
AM8:25
「ちょっと、ヤバイな」
そう呟いて家を出た。
「はい、高嶺。遅刻なー」
臨時担任の小林が遅刻を言い渡す。
只今の時刻はAM8:41だ。
「先生、細かいって」
愚痴りつつ席に着く。
すると、後ろの席から杉崎が小声で
「災難だったな」と笑いながら声を掛けてきた。
今日は通常の担任である鈴木じゃなく臨時の小林だった。ホームルームでは出張だと小林が言っていたが、昼休みに職員室前を通った生徒の情報によると昨日から連絡が取れないそうだ。
「事件?」
「そうそう、失踪事件みたいだって皆言ってるんだよ」
心地よく眠りを誘う秋の五時間目。それも、終わりに差し掛かった頃だ。
瀬田が古典の漢文を板書し始めたので、杉崎が他の生徒から聞いた情報を話しかけてくる。
たかが連絡が取れないくらいで失踪事件かよ。そう思いながらもまったく関心が無いわけじゃない。だから、馬鹿げた事とは分かりつつも杉崎の話にも乗ってしまったんだ。
「だからよ、ちょっと調べてみようぜ」
「どうやってだよ」
「そこはまぁ、聞き込みとか色々だよ」
そんなこんなで言い包められてしまった俺は
「先生失踪事件」の調査に付き合わされるハメになったわけだ。