『ドロステのはてで僕ら』(2020)が秀逸だった劇団ヨーロッパ企画の第二弾。前作『ドロステ~』は、現在から2分後の未来が映る「タイムTV」を用いた超近々未来型『バック・トゥ・ザ・フューチャー』だったが、本作は同じ2分しばりでもタイム・ループもの。SF映画ではそう珍しくもない設定だが、2分という短時間で元の時間に戻るというところが面白さを生んでいる。
前作でもそうだったが、2分というしばりは行動範囲を制限するので、ワンシチュエーション・ドラマに合っている。前作では行動範囲はカフェのある同じビル内に限定されていたが、本作では旅館。ただ旅館の裏の川や山、旅館内の部屋、厨房、風呂、旅館の本館と別館と少し行動範囲が広くなっている。屋外のシーンが少なくないことや、俳優に劇団員以外の本上まなみや近藤芳正を起用することで、前作よりも断然映画っぽくなっている。前作の「演劇っぽさ」は作品の「味」であり、それが薄まることは好みの分かれるところだろう。
主演は前作でカフェ店員を演じていた藤谷理子。この作品が映画初主演。低予算映画だけに「旅館を借り切っての撮影は費用面で大丈夫かな」と思っていたら、この作品の舞台となっている天保年間創業の老舗旅館「貴船ふじや」は彼女の実家とのこと。聖地巡礼は趣味ではないが(これまで映画ロケ地で訪れたのは『ドライブ・マイ・カー』に登場した広島市環境局中工場や呉市大崎下島御手洗地区のあの宿に泊まったくらい)、この宿は普通に泊まってみたいと思った。
タイム・ループものは好物なので(ベストは『ラン・ローラ・ラン』)、この作品も十分に楽しめた。アイデアの新奇さでは前作に譲るものの、完成度という点では前作を上回っている。
タイム・ループで同じ時間の同じ場所に戻るという設定だが(それを「初期位置」と称するのがウケた)、自然現象はいかんともしがたかったのだろう、雪が積もっていたり、ループして戻ると雪がなかったり。「ループすると世界線がズレる」というセリフでその矛盾を繕っていたが、そこは愛嬌(ハリウッド大作であればCGで雪を消す処理ができたのだろうが、その予算はなかったのだろう)。本作の最大の不満はオチ。「チープなSFオチ」が多分ヨーロッパ企画らしさ、上田誠らしさなのだろうが、個人的には頂けなかった。「貴船川の竜神に願懸け」というロマンチックな設定では「らしくない」ということなのだろうか。
それでも前作『ドロステ~』同様、観て損はない作品だろう。今後のヨーロッパ企画・上田誠作品に期待。
★★★★★★ (6/10)
