『ハミルトン』 (2020) トーマス・カイル監督 | FLICKS FREAK

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いやぁ、映画って本当にいいもんですね~

 

ディズニープラスはこの作品を観るために契約し、その甲斐はあったという作品。

 

『ハミルトン』は、2015年2月にオフ・ブロードウェイのパブリック・シアターで開幕。同年8月にブロードウェイのリチャード・ロジャース劇場に移行し、批評的に多大な評判を受け、かつてない興行成績となった作品。2016年には第70回トニー賞全部門の13部門16ノミネートを獲得し、トニー賞史上最多ノミネート記録となり、作品賞、脚本賞、楽曲賞、主演男優賞を含む11部門受賞に輝いた(歴代最多受賞である2001年『プロデューサーズ』の12部門受賞を塗り替えることはできなかったが)。

 

主人公アレクサンダー・ハミルトンは、「アメリカ合衆国建国の父(アメリカ独立宣言に署名した56名)」の一人で、10ドル紙幣の肖像画の人物。10ドル紙幣の肖像画は変更が決まっていたが、このミュージカルのヒットにより変更がキャンセルされたという。アメリカ人であれば誰もが知っている歴史上の人物。

 

ブロードウェイのミュージカルは好きで、ニューヨークに住んでいた頃は何度も足を運んだ。特に好きだったのは『オペラ座の怪人』と『レント』。いずれも4-5回は観たが、やはりセリフは完璧に聴き取ることは難しく、台本をインターネットで入手して精読して鑑賞に臨んだものである。この作品は、ブロードウェイ・ミュージカルをそのまま映像化したものであり、舞台を生で観る迫力には及ばないものの、字幕という強力なサポートは鑑賞の上で大きなアドバンテージだと感じた。それはオペラや歌舞伎といった演芸にも同じことが言えるだろう。

 

アメリカ建国の前夜から建国直後の出来事が描かれており、アメリカ人には熱狂的に受け入れられたことがよく分かるストーリー。ただ日本人にとっては笑いのツボがイマ一つピンと来ないところも多々あった(例えば「ニュージャージー州では全てのことが合法だ」というセリフで笑いが生じていたが、何か具体的な事例を指しているのか、それともニュージャージー州民の気質をそう評しているのだろうか)。

 

歴史上の白人を黒人やヒスパニックの役者が演じているところが、今のアメリカを象徴しており興味深かった。またセリフはわずかでほとんどが歌により物語は進行していくが、議論する場がラップバトルになっていたり、音楽もヒップホップが使われていたり新鮮な印象だった。

 

ニューヨーク・ブロードウェイのヒット・ミュージカルがこのように映像化されることで、観る機会が得られるのは貴重なことだと思われる。ブロードウェイ・ミュージカル好きは是非。

 

★★★★★★ (6/10)

 

『ハミルトン』予告編