『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』 (2010) エドガー・ライト監督 | FLICKS FREAK

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いやぁ、映画って本当にいいもんですね~

 

売る気があるのかどうか分からない邦題だが、邦題のひどさとは関係なく面白い作品。『ショーン・オブ・ザ・デッド』が最高だったエドガー・ライト(イギリス)の北米進出初作品。

 

カナダのトロント。売れないバンドのベーシスト22歳のスコット・ピルグリムは、中国系の女子高生ナイブスと付き合っていたが、夢で出会ったラモーナと現実に出会いひと目ぼれ。そして彼女と付き合うことに。その後、地元のバンド大会に出場したスコットは、空から降りてきたラモーナの元カレと戦うことになる。その元カレを倒したスコットはラモーナから、自分と付き合うためには計7人の邪悪な元カレ軍団と戦わなければならないと告げられる。

 

マンガが原作であり、その雰囲気がふんだんに盛り込まれている。映像はゲームの世界を観ているよう。武器が突然出てきたり、相手を倒すと得点が表示され、相手はコインに変わる。映画のオープニングのユニバーサルのテーマが8ビット・コンピューター・ゲーム風になっているように、映画全体に8ビット・コンピューター・ゲーム風の仕掛けがある。

 

Scott Pilgrim vs. the World Universal Studios 8bit Opening

 

元カレが次々出てきて、戦うシーンはまさに格闘ゲームのノリなのだが、ボリウッドの格闘シーンのようでもあり、チャウ・シンチー(『少林サッカー』)の作品のようでもある。

 

映画を観ながらにしてマンガやゲームの雰囲気を味わうというオフビート感覚が楽しめるかどうかで、この作品の好き好きは分れるだろう。少々悪ノリ気味ではあるものの、個人的にはかなり楽しめた。


主役を演じるマイケル・セラは、童貞もの~というジャンルがあるかどうか分からないが~の傑作『スーパーバッド童貞ウォーズ』でも演じている。元カレと格闘するという点を除けば、童貞の彼がさしたる努力もせずに彼女をゲットするのだが、ラモーナと両天秤にかけたナイブスと最終的に別れるラストシーンはほのぼのしていて、なかなかよかった。

 

また、この作品の魅力は使われている音楽。ベックが数曲提供しているほか、スコットの元カノ、エンヴィー(ブリー・ラーソン)がリードシンガーを務めるバンドの曲として、カナダのメトリックのヒット曲が聞けたのはよかった。

 

『ブラック・シープ』ブリー・ラーソン・バージョン

 

『ショーン・オブ・ザ・デッド』ほどではないけれども、エドガー・ライトらしい楽しい作品。

 

★★★★★★ (6/10) 

 

『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』予告編