『キング・コング』 (1933) メリアン・クーパー監督 | FLICKS FREAK

FLICKS FREAK

いやぁ、映画って本当にいいもんですね~

 

大恐慌の余波で世の人々が不況にあえぐ中、世界中で大ヒットした作品。当時経営が危機にあった映画製作会社のRKOを救った作品。アドルフ・ヒトラーのお気に入りだったとか、円谷英二がこの作品を観て特撮映画監督になることを決意したとも言われている。

 

ストップモーションで撮られたキング・コング+髑髏島の恐竜(結構出てくる、6種)のシーンは若干ユーモラスではあるが、なかなかよく出来ていた。24コマが映像1秒になるのだが、気の遠くなるような作業。それをたっぷり見せてくれる。

 

「美女と野獣」という言葉が何度も出てくるが、この作品では野獣の片思い。美女と心を通い合わせるという設定ではなかった。それが少々切ないところ。

 

元々、髑髏島からキング・コングが連れられてきたのは、見世物にして金儲けしようという人間のエゴ(ニューヨークで公開されるショーのシーンで、会場に並んでいる男が「チケットに$20も払った」というセリフがあるが、当時、ベーブ・ルースやルー・ゲーリックが在籍していたヤンキースのチケットは35セントだった)。その犠牲となって殺されてしまうのだから、かわいそうでもある。しかし、髑髏島の原住民を踏み潰したり、ニューヨークでアパートに上って窓から女性をつかみだし、それが探し求める彼女ではないと知るとほうり出したりとなかなかのbad assだった。

 

ポピュラーなキング・コングのキャラクターゆえ、この作品以降、度々映画化されているキング・コング物だが、このオリジナルを越えた評価を得ている作品はまだない。歴史的価値は大だろう。

 

★★★★★★ (6/10)

 

『キングコング』予告編