『ウルヴァリン: X-MEN ZERO』 (2009) ギャヴィン・フッド監督 | FLICKS FREAK

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いやぁ、映画って本当にいいもんですね~

 

北米大ヒット中の『Logan』を観る前におさらい。2009年に公開されたX-MENシリーズのスピンオフ作品。

 

X-MENシリーズで、ストーリー的に重要なキャラクターはプロフェッサーX(チャールズ・エグゼビア)とマグニートー(エリック・レーンシャー)だが、一番キャラ立ちしているのは、やはりウルヴァリンであろう。

 

X-MENシリーズは、旧三部作に続く新三部作の第二作目『X-MEN:フューチャー&パスト』で過去が書き換えられてしまったため、かなり時系列が入り組んでいるが、この作品はX-MENシリーズの中では一番古い時代の物語から始まっている。

 

そしてこの作品では、若きジェームズ・ハウレットが目前で父を殺されることでミュータントとして覚醒したこと、その後ローガンと名乗りカナダで隠遁生活を恋人と送っていたこと、その恋人を殺され復讐のため「アダマンチウム」による骨格を強化する「ウェポンX」計画を受け入れ、自らをウルヴァリンと名付けることなどが描かれている。彼のトレードマークである手の甲から飛び出るアダマンチウムの爪の誕生譚である。

 

X-MENシリーズは、ミュータントと人間との共生が大きなテーマであり、そこに現実社会でのマイノリティに対する差別問題といった社会的メッセージを読み取ることができるが、本作品では旧三部作とは監督・脚本が違うこともあり、よりアクションにフォーカスしたものになっている。

 

ウルヴァリンに対するキャラクターは、セイバートゥース(ジェームズ/ローガンの兄のビクター・クリード)とデッドプール(ウェイド・ウィルソン)なのだが、彼らがなぜウルヴァリンと戦うのかといった理由付けがそもそも弱い。息子がミュータント化してその息子に妻を殺されたことによりミュータントを憎むウィリアム・ストライカーが、彼らを差し向けるのだが、セイバートゥースとデッドプールが彼に従う動機が明確ではないと感じた。ウルヴァリンはカナダで隠遁生活をしていた時の恋人から幾度も「あなたはけだものではない」と言われていたことから、セイバートゥースやデッドプールといったミュータントはけだものであり、単に殺戮を好むと読むこともできるが。

 

デッドプールは、彼を主人公としたスピンオフ作品が、2016年に映画化されているが、ミュータント化した経緯など全く異なる設定となっている。2016年の『デッドプール』はマーベル作品の中では出色の出来なだけに、この作品でのデッドプールはキャラクターとして面白みに欠けている。

 

X-MENシリーズはマーベルのドル箱作品群なのだが、いつもイマ一つといった感じを受けてしまう。この作品も同じ。それでも、ウルヴァリンを主人公としたスピンオフ作品第二弾の『ウルヴァリン: SAMURAI』よりはよい出来ではあるが。

 

★★★★★ (5/10)

 

『ウルヴァリン: X-MEN ZERO』予告編