『ジョン・ウィック: チャプター 2』 (2017) チャド・スタエルスキー監督 | FLICKS FREAK

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いやぁ、映画って本当にいいもんですね~

 
ジェイソン・ボーン・シリーズがパワーダウンして(最新作『ジェイソン・ボーン』では、マット・デイモンは戻ってきたものの、やはりトリロジーで終えるべきだった出来)、アクションのシリーズ物として今一番期待されているのはジョン・ウィック・シリーズではないだろうか。それだけ、前作『ジョン・ウィック』はスマッシュ・ヒットだった。
 
復讐のために裏社会に戻ったジョンだったが、仕事を引き受けるつもりはなかった。そこに現れたのが犯罪組織「High Table」の実権を姉に奪われ、その姉を殺す依頼をしに来たアントニオ。当初依頼を拒否していたジョンだったが、それを断り切れなかったのは、アントニオが、ジョンが裏社会から足を洗うことに労力し、その見返りとして誓いの「Marker」を持っていたため。そして任務を遂行しニューヨークに戻ったジョンの口を封じるため、アントニオは7億円の賞金をジョンに掛け、ニューヨーク中の殺し屋が彼を狙うことに。
 
アクションは間違いなくグレードアップ。カーアクションは格段に迫力を増し、1作目の売りだったガンアクションも、その手のマニアを唸らせることだろう。そして何よりも、ベアナックルファイトがすごい。アントニオの姉のボディガード、カシアン(コモン)との格闘は、今まで観た映画の中でも『イースタン・プロミス』(2007年)と並ぶほどエキサイティングだった。
 
それでもやはり、続編は一作目を越えない法則は生きているという印象が強かった。そしてそれは単に期待が大き過ぎたからというだけではない。
 
一作目のよさは、「たかが犬と車のために」半端ない数(77人)の人を殺しまくるストーリーのシンプルさと、怒りがモチベーションにあったから。確かにボディ・カウントは増えているが(ネットでは95人から130人とされている)、ストーリーははるかに大掛かりになり、それがテンポの悪さにつながっている。そして殺しも仕事じゃなあ、という感じ。『マトリックス』シリーズ以来のローレンス・フィッシュバーン(『マトリックス』のモーフィアス役)との共演も楽しみだったが、何のことはない脇役だったし。
 
ということで、映画館を出た時はかなりがっかりしたのだったが、少し考え直したのは、ジョン・ウィックは一作目のヒットから、トリロジーとなることが決まっており、3作目を完結編とする前編と考えれば、大掛かりなストーリーの消化不良感も仕方ないといったところ。次作の期待はそれほどでもなくなったが、次作とセットで評価する方がいいだろうと感じた。
 
一作目を観ていなければ面白味は減るので(出だしの10分は前作のほとんどパロディ。そして、ニューヨークの殺し屋に襲われるシーンでは、伝説の「鉛筆で3人殺した」が登場。殺すのは2人だが)、まず一作目を。そしてこの作品はそれを越える出来ではないと期待しないで観るのがいいと思われる。
 
★★★★★ (5/10)