『スーサイド・スクワッド』 (2016) デヴィッド・エアー監督 | FLICKS FREAK

FLICKS FREAK

いやぁ、映画って本当にいいもんですね~



日本でもこの9月から公開される、DCコミックの実写化作品。

これはいただけなかった。予告編は面白そうだっただけに残念。劇場で観たけれど、これがもし飛行機のエンターテイメントであれば、途中で観るのをやめていたレベル。

凶悪化する犯罪に対処するため、悪党を編成して「毒をもって毒を制す」的な設定は新しいものではない(例えば『ワイルド7』とか)。

『スーサイド・スクワッド』で牢獄から呼び寄せられた悪党は、スーパー・ヒーローならぬスーパー・ヴィランということだが、その能力レベルがまちまち。射撃の腕が超人的という人間に毛の生えたようなキャラクター(つまり銃がなければただの人)もあれば、火炎を思いのように扱える超人レベルもいれば、見た目からしてかなり人間離れしたキャラクターもいる。それらが同等に活躍しようというのだから、かなり無理がある。これが複数のスーパー・ヒーロー(この作品ではヴィラン)を登場させる場合の最大の欠点。やはりアメコミの実写化に関しては、一人のキャラクターを扱ったものに限る。

そして彼らが相対する相手が人間レベルであれば、まだ彼らの(超)能力も通用するかもというところだが、この作品で、彼らが戦うのは、魔女と魔人(witchの訳が魔女と女性限定なら男のwitchはどう訳するのだろうと考えてしまった)。人間レベルでは通用しない相手が敵というところからして、かなりストーリーは破綻していると言えよう。

ストーリーがあまりに陳腐過ぎて、ほとんど展開を予想できるだけに、見所は作品としての出来以外のところに。『Paper Towns』で映画初出演をしたモデルのカーラ・デルヴィーニュは魔女の役なのだが、彼女の雰囲気とマッチしていい感じ。そして、カーラ・デルヴィーニュよりも更によかったのが、ハーレイ・クイーン役のマーゴット・ロビー。彼女を認識したのは、(映画デビュー作の『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』では勿論なくて)『ウルフ・オブ・ウォールストリート』
。とはいえ、それらの作品では脇役に過ぎなかったが、この作品では主役級の存在感。犯罪者のカウンセラーであった彼女が受刑者の一人ジョーカー(ジャレッド・レト、ちなみに『バットマン』に出てくるジョーカーと同一キャラ)に恋をし、彼にどのような仕打ちをされようともついていくぶっ飛んだキャラクター。ハーレイ・クイーンを観るだけの映画と言い切ってもいいかも。

ちなみに主役級のデッドショットを演ずるウィル・スミスは明らかなミスキャスト。彼を見ても、全く悪役に見えない。

ということで、あまり期待しない方がいいかもという作品。

★★★★ (4/10)

『スーサイド・スクワッド』予告編