『少林寺三十六房』 (1978) ラウ・カーリョン監督 | FLICKS FREAK

FLICKS FREAK

いやぁ、映画って本当にいいもんですね~



カンフー映画の名作と名高い『少林寺三十六房』。クエンティン・タランティーノは本作を「カンフー映画史上最高の3本に入る」と評し、主演を務めたリュー・チャーフィーに自らキル・ビルへの出演オファーをかけ、彼は『キル・ビル』Vol.1とVol.2に出演している。

基本的なストーリーは主人公が為政者に親を殺され、少林寺でカンフーの修行をして、為政者に仇討をするというもの。清の時代であり、主人公は漢民族なので、統治する満州民族との民族的な軋轢があっただろうが、登場人物の諸々の感情がにじみ出てくるような演技ではない。いかんせん古いという感じ。

剣が触れ合ったり、拳が空を切ったりする効果音がやたら大袈裟だったり、血がまんま絵の具だったりするのはご愛敬として、人の心情を描くというには、まだまだプロダクションが稚拙だった時代の映画という印象。

純粋にアクション物としてだけみると、見所は多い。特に少林寺に36の房があり、それぞれ鍛練するテーマがあって、それをこなしていく過程や、実戦でそれら習得した技術がいかんなく発揮されるところはうまく作ってあると思う。

ワイヤーアクションもなく、いい時代のカンフー映画なのだが、武具を使うシーンが多いのが少々物足りなさを感じる。やはり格闘技的にはフィスト・ファイトが一番エキサイティング。そしてこの映画でよく使われるのが、主人公が発明したという設定の「三節棍」。これを見ると、ヌンチャクがいかに武具の中ではヴィジュアル的に映画向きだったかが分かる。

やはりブルース・リーは偉大だったのだな、と彼の作品を越えるカンフー作品はないということを再確認した次第。

★★★★ (4/10)

『少林寺三十六房』予告編