非常に評価の高いメル・ギブソン監督・主演の『ブレイブハート』を20年ぶりに再観賞。確かに色々な要素がバランスよく、ストーリーも明快、演技や風景の美しさ(実際にはスコットランドではなくて、アイランドで撮影は行われた)、映画のよさの全てが出ている。
そもそも人はアンダードッグが苦難をはねかえすストーリーには拍手喝采するものである。
この映画は、13世紀末にイギリスの圧政に苦しむスコットランドの反乱軍を率いた実在の人物ウィリアム・ウォレスを描いたもの。史実とは異なることが多いと批判されることもあるようだが、歴史ドキュメンタリーとして作品を捉えているわけではないので、それほど気になることでもない(13世紀のスコットランドを誤って理解することがそれほど問題でないという前提)。
特筆するのは戦闘シーンの迫力。入り乱れる兵士の中に入って撮るカメラワークの効果は発揮されている(レンズに血が飛び散る場面とか)。20年前でこのクオリティなら上々。残虐なシーンも多々あるが、むしろリアリティと感じる。
ストーリーでは、やはり裏切りによってドラマが生まれるところがスリルを増している。難を挙げれば、イザベラ皇太子妃(ソフィー・マルソー)との恋愛というサブプロットはいらないかな。幼なじみのミューロンとの恋愛だけの方がロマンチックに感じる。全く好みの問題だけれど。
最後のウォレスの処刑シーンはもう少しやりようがあったのではないか。あまりにもきれい過ぎる。腹をかっさばくところを映せとは言わないが、メリー・ギブソンの血色のよい顔は若干興を削がれる。
もし観逃していたのであれば、是非押さえておきたい名作の一つであることを再確認した。
★★★★★★ (6/10)
『ブレイブハート』予告編