『007 スペクター』 (2015) サム・メンデス監督 | FLICKS FREAK

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いやぁ、映画って本当にいいもんですね~



007シリーズ第24作目『スペクター』。前作『スカイフォール』と同じサム・メンデス監督とあって期待したのだが、これが全くの期待外れ。どうしようもないと思った『慰めの報酬』の方がまだましかもしれないと感じたほど。

とにかくアクションがスロー。MIシリーズやボーン・シリーズで切れのよいアクションを見慣れたせいか、実にかったるい。カーチェイスのシーンも、車を傷つけたくないのではというほどぬるい感じ。

007シリーズのお約束といえば、気合の入ったオープニング・ロールだが、これが全くイケてない(タコが変)ことから観始めてすぐにそうした予感はあったのだが。

そしてストーリーが陳腐かつ、かなり無理がある。『カジノ・ロワイヤル』以降のこれまでの悪役が全て一つの組織(=スペクター)につながっていて、その首領がなんと....なーんてのは、どう考えてもおかしいでしょ。

ピアース・ブロスナンのにやけた感じに辟易していたところに、ダニエル・クレイグのジェームス・ボンドは実に新鮮で、『カジノ・ロワイヤル』は拍手喝采だった。

そのダニエル・クレイグも4作目にして、少々賞味期限切れの模様。確かにイギリス人俳優ではあるのだが、ジェームス・ボンドという名前から連想する、大英帝国の気品、気位の高さやウィットに欠ける感じがする。

前作『スカイフォール』では、ジェームス・ボンドがハイネケンを飲んでいて、ファンから酷評されていたが、ダニエル・クレイグはシャンパンよりもビールが似合う気がする。あいかわらずトム・フォードのスーツはダニエル・クレイグには似合っているのだが。

ちなみにシャンパンは映画の中で数回登場するが、銘柄は明示されず。黒のネック・フォイルなので、ボランジェ・グラン・ダネだと思われる。あと、マティーニは2回登場、1度はレア・セドゥ演じるボンド・ガールがダーティマティーニを注文した際「それを2つ」と言ってダーティマティーニを飲んでいたのが興味深かった(もう一度は、前作『スカイフォール』では敢えて言わなかった例の"Vodka Martini. Shaken, not stirred.")。

そしてラブシーンがキモい。ジェームス・ボンドといえば稀代のウーマナイザーなのだが、どうもダニエル・クレイグはタフさが前面に出過ぎて、ラブシーンをさらっとこなせる感じがしない。

やはりジェームス・ボンドは、ショーン・コネリーしかできないのではないか、というか、ショーン・コネリーがジェームス・ボンドのイメージを決定したがゆえ、誰がやっても彼以上のジェームス・ボンドは無理ということなのだろう。

ボンド・ガールはモニカ・ベルッチとレア・セドゥ。両者ともに話題性はあったのだが、作品の中での存在感は今イチ。レア・セドゥは好みだけに、彼女の魅力が生かし切れていないのは残念だった。

ということで、次作では、是非監督・ジェームス・ボンド役を代えてこの人気シリーズを続けてほしいと思った。

★★★ (3/10)

『007 スペクター』予告編