タランティーノ最新作「ジャンゴ 繋がれざる者」鑑賞。
タランティーノといえば「レザボア・ドッグス」であり、「パルプ・フィクション」。それら初期の快作のエネルギーを感じさせない最近の作品(「?」の『キル・ビルvol.2』と超駄作の『イングロリアス・バスターズ』)の後なだけに、あまり期待しないで観た。
これがいい。奴隷制度とマカロニ・ウェスタンをマッシュアップするアイデアは微妙だが(スパイク・リーはかなり批判してるらしい)、個人的には作品に深みを与えるいいアイデアだと思う。奴隷出身のバウンティー・ハンターとはいかしてるではないか。
タイトル(「続・荒野の用心棒」の原題「Django」)からして、タランティーノの解釈による現代版マカロニ・ウェスタンであることは分かるが、銃撃シーンは明らかに香港ノワールの影響が見て取れる。『男たちの挽歌』のあれである。
クリストフ・ヴァルツは、これまでこれといった役をやっていなかったと思うが、この作品では実にいい演技をしている。ディカプリオはミスキャスト。
アフロアメリカンの心境は分からないが、奴隷制に関しての描写はリアルだと感じた。特に映画のメインプロットとは関係ないが、ディナーのセッティングのエレガントなシーンには「ほう」と感心したことを付け加えておく。
アカデミー作品賞候補の本作だが、オスカーを取るとは到底思えない。とはいえ、タランティーノ好きには観て損のない好作品と言える。
★★★★★★★ (7/10)
『ジャンゴ 繋がれざる者』予告編