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ポール・トマス・アンダーソン監督『ザ・マスター』鑑賞。
『ブギ―・ナイツ』のヒット以来フォローしている監督。『マグノリア』『パンチドランク・ラブ』と自分の中の評価は尻上がりだったのが、前作『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』は納得いかない出来。そして5年ぶりの新作に期待していた。
トム・クルーズが信奉していることで有名になった、新興宗教のサイエントロジーの教祖をモデルにしているこの作品。その教祖役がフィリップ・シーモア・ホフマン(名優)。主人公はその教祖と引き合いながら、自分の人生を見失い苦悩する男、演ずるのはホアキン・フェニックス(リバー・フェニックスの実弟で、『グラディエーター』のコモドゥス役が当たり役)。
実に哲学的な会話が多いのだけれど、新興宗教をモチーフにするがゆえに、そこに真実味がないように思えて仕方なく、自分としては前作よりさらに納得いかない出来だった。新興宗教の胡散臭さを取っ払って、ぐずぐずの人間のダメダメな姿を描いたと割り切ればいいのか、実に微妙。やはり宗教をベースにするのはリスクがあるんじゃないかと。
しかしホアキン・フェニックスを始め、出演している役者の演技は素晴らしい。
ポール・トーマス・アンダーソンには、テレンス・マリックに負けないくらい、もっとすごい作品を作ってほしい。
★★★★★ (5/10)
『ザ・マスター』予告編