『胸騒ぎの恋人』 (2010) グザヴィエ・ドラン監督 | FLICKS FREAK

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いやぁ、映画って本当にいいもんですね~



グザヴィエ・ドランが今注目すべき監督の一人であることは間違いがない。彼の監督2作目『胸騒ぎの恋人』鑑賞。

同じ男性を好きになってしまった幼馴染の男女という奇妙な三角関係。その男女の男役を演じるのはドラン本人。実際にゲイである彼の個性が生かされた作品と言える。

幼馴染の2人は内心恋愛対象の男性に興味津々なのに彼の悪口を言っては相手の腹を探ってみたり、彼の思わせぶりな言動に期待を持ったりというもどかしい恋愛が描かれている。嫉妬と友情の天秤が興味深い。

ポップなカラーアート、ドラン監修のコスチューム、クラシックな音楽などオリジナリティ溢れる独自のスタイルがいかにもドランらしい。

カメラワークで目を引くのが、スローモーションと後ろ姿のカットが多いこと。特に後者は、役者の視線が見えないことで、観客の想像力を掻きたてる効果があると感じられた。

ただストーリーはシンプルで、底が浅い。作りのうまさが作品を魅力的にしているが、彼のその後の作品にある深さはない。ドランの原石を観たいというファンが観る作品だろう。

★★★★★ (5/10)

『胸騒ぎの恋人』予告編