FLICKS FREAK

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いやぁ、映画って本当にいいもんですね~

 

アバター・シリーズ最新作。上映時間3時間17分の作品だが、体感では5時間ほどに感じた。

 

前作『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』から3年しか経っていないにもかかわらず、前作を観たことすら忘れていたことが災いした。アバター・シリーズは全5作を予定しているが、前作と本作は連続して制作されたため、前編・後編と言えるもの。そのため前作の設定がそのまま引き継がれており、前作の内容を忘れていた自分はかなり戸惑うことに。それは睡魔との戦いでもあった。

 

先住民族の土地回復闘争は何世紀もの歴史があるが、近年SNSを通じた「Land Back運動」として注目されている。現在公開中の『ズートピア2』にも、そしてアバター・シリーズにも通底する問題意識と言える。アバター・シリーズにおいて、先住民族はナヴィ族であり侵略者は人類。その侵略の目的は、第一作目『アバター』では希少鉱物資源「アンオブタニウム」だったが、前作ではそのレアアースの設定は後退。代わって移住のための植民地化とトゥルカンの商業的捕獲が侵略の目的となった。これは中国マーケットを意識した設定の変更であり、反捕鯨を謳っても興行収入には影響はないという制作側の判断だろう(現在、商業捕鯨をする国は日本、ノルウェー、アイスランドの3国)。

 

その侵略の目的に若干の変更があれど、「先住民族 vs 侵略者」という大筋は前2作と全く変わらないもの。その「同じものを観させられている感」が、本作を長いと感じた理由の一つ。前作を観た時は、予測可能なストーリーの薄さを補って余りある映像美だと感じたが、今回も前作同様IMAX 3Dで鑑賞しながら、前作以上に薄いストーリーをカバーしきってはいなかった。更に、本作後半は両者の戦闘シーン(人類には、ナヴィの一族であるアッシュ族が加わるのだが)が延々と続く。「アクションに次ぐアクション」と言えば聞こえはいいが、ストーリーに展開がないとさすがに飽きてしまう。

 

この作品でのヴィランは、まず人類。先住民族を蹂躙する悪役という設定が単純過ぎないかというのはシリーズを通じて感じるところ。そしてリコンビナント(人格をコピーしたクローン)のクオリッチ大佐。彼は私怨でジェイク・サリーを敵視するのだが、彼らの関係が時折ぬるくなるシーンが複数回あり、次作以降にそうした設定が生かされるのだろう。

 

本作を鑑賞するには、IMAX 3Dで映像自体を楽しむことをお勧めする。そして前2作(少なくとも前編的な前作)をおさらいすること。そして睡眠はしっかり取って鑑賞に臨むべきだろう。

 

★★★★ (4/10)

 

『アバター:ファイアー・アンド・アッシュ』予告編