勿論コートジボワール戦を中心に振り返りますが、その前に行われたグループリーグ3試合を簡単に振り返ります。
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①コロンビア 3-0 ギリシャ
アルメロ、グティエレス、ハメス・ロドリゲスのゴールでコロンビアが3-0で快勝。
日本が戦うグループCで単独首位に立ちました。
南米大陸ということもあり、コロンビアの圧倒的ホームの状況で行われたこの試合。
序盤から司令塔のハメス・ロドリゲスを中心にスニガ、アルメロの超攻撃的両サイドバックがサイドを制圧。
5分にあっさり先制点を上げると、後半も2点を追加して完勝。
ファルカオの9番を背負って先発出場したグティエレスも結果を残しました。
カウンターが得意なギリシャへの対策として後ろはブロックを作って速攻を許さず、攻撃も前線の4人で簡潔に攻め切る形を貫いた。
最後まで運動量も落ちず、攻勢に出たギリシャの裏をとってアディショナルタイムにも追加点を上げました。
ギリシャは代名詞でもある堅守速攻が影を潜め、サマラスの個人技など単調な攻撃が目立った。
一番強く感じたのは、人に対しては強いがボールに対して強くいけていない印象。
日本はあまり時間を掛けず、テンポの良いパスワークを披露すれば長身でスピードのない相手守備陣を崩すことは十分に可能だと感じました。
対するコロンビアは前線に技術的にもフィジカル的にも優れるタレントを揃え、先制後の戦術変更など南米らしい試合巧者ぶり。
日本にとっても間違いなくグループリーグで最も脅威な相手だと思います。
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②ウルグアイ 1-3 コスタリカ
ウルグアイはカバーニ、コスタリカはキャンベル、ドゥアルテ、ウレニャがゴール。
今大会初の波乱と言えるのではないでしょうか。
スペインがオランダに大敗したのは確かに驚きましたが、オランダの攻撃力を考えれば十分に有り得たスコアだったと思います。
過去優勝2回、前回大会では3位に輝いたウルグアイはスアレスがコンディション不良でベンチスタート。
FWにはカバーニ、フォルランが名を連ねましたが、組織として戦う力が弱く、最後までコスタリカのサイド攻撃に手を焼いていた印象でした。
対するコスタリカは強化試合の日本戦とほぼ同じスタメンで、アメリカで見せた縦に早いサイドアタックで再三ウルグアイゴールを脅かしました。
特にFWのキャンベルはフィジカルが強く、シュート意識が高い。
ウルグアイはスアレス不在の影響もあり前線で起点が作れない時間が多かったですが、それ以上にコスタリカが攻守に切り替えが早く、ハードワークしていたと思います。
南米勢では今大会初の敗戦となったウルグアイ。古豪復活にはスアレスの復帰が必要不可欠だと感じました。
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③イングランド 1-2 イタリア
イングランドはスターリッジ、イタリアはマルキージオ、バロテッリがゴール。
私が思うに、今大会の8試合の中で最もスペクタクルなゲームだったと思います。
両チームとも序盤からリスクを冒したアグレッシブなサッカーで、前半からシュートの旺盛。
イタリアはピルロの長短織り交ぜたパスを中心に、コンフェデで見せたポゼッションサッカーで中盤を制圧。
対するイングランドはスターリッジ、スターリングのリバプールコンビを中心に個人技で屈強なイタリアDF陣を打開。
セットプレーから先制点を献上しましたが、直後に速攻からスターリッジが同点弾。
後半には右サイドからバロテッリがヘディングで合わせ2-1で勝利。
両チームともにルーニー、バロテッリの両エースに期待が集まりましたが、左サイドでスタートしたルーニーはプレーに絡むシーンが少なく、消えている時間が多かった。
バロテッリは狭いスペースの中でもキープ力を発揮し、少ないチャンスの中で勝ち越しゴール。
圧巻はイタリアの右サイド。
デ・シリオの負傷で代役を務めたダルミアンと、右ウイングのカンドレーバは再三右サイドを崩し、クロスボールで得点機を演出。
ブッフォンの代役で出場したシリグも安定感は抜群で、ファインセーブも。
全体的に見ても運動量が多く、足をつる選手が多かったイングランドに最後まで走り負けなかった。
イタリアはポゼッションでも運動量でもイングランドを圧倒し、最高のスタートを切りました。
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そして10時からは我らが日本代表の初戦、コートジボワール戦が行われました。
普段はメモ帳を片手に中立的に分析しながら試合を観ている私ですが、せっかくの4年に1度の機会なのでパブリックビューイングに足を運んでみました。
ゲストとして招かれたFC東京の応援番組「FC東京魂!」の土屋礼央、渡邊一平、ジョナサン、ゆってぃ、川内ネネの5人と、元FC東京の尾亦弘友希、FC東京のマスコットキャラクターである東京ドロンパも。
なぜこんなにFC東京関連の人が?と思う人もいるかもしれませんが、このパブリックビューイングはFC東京の協力のもと、ホームタウンである小平市で行われたイベントなんです。
そのFC東京から森重が先発出場したコートジボワール戦ですが、1-3で敗戦。
実際に見た人も多いと思うので試合展開についてはあまり振り返らず、課題や収穫点を箇条書きしてみようと思います。
【収穫】
・アフリカ勢の課題であるDFの集中力のなさを突いた先制点。素早いスローインでのリスタートから、相手の陣形が崩れている間に攻め切った
・スピードで一人が突破されても、その後にボランチやサイドバックがカバー。全体的にカバーリングの意識が高く、随所で連動した守備が見られた
・遠藤の途中出場での起用。得点機には至らなかったものの、シンプルな1タッチ、2タッチでのプレーでチームにリズムをもたらした
【課題】
・立ち上がりの入りの悪さ。いつものような前線からのハイプレスは少なく、ラインも相手のスピードを恐れて押し上がらなかった
・スピードのある相手に対してラインを低くブロックを作ったものの、ボールに対してプレスが掛からずに後手に回るシーンが多かった
・攻守においてのスイッチの入れどころ。攻撃面ではスイッチを入れる縦パスが入らず、FWへ収まる機会も少なかった。守備面では1stディフェンダーのプレッシャーが緩く、どこで奪うのかチームとしてメリハリがなかった
・攻撃時の距離感の悪さ。サイドやFWが孤立する場面が多く、90分を通して日本のストロングポイントであるポゼッションは影を潜めた
・センターライン付近でボール失う回数が多く、ラインが押し上げている段階で中盤が間延びした状態の時にカウンターを受けることが多かった
・交代が後手に回った。大久保がドログバより先に準備していたものの、結果的に先にドログバを投入されて直後に2失点。勝負の交代の時にタイミングを伺って戸惑ってしまった
正直、課題はここに挙げた以上に山積みですが、収穫の2倍に抑えておきました...
ピッチ内での戦術面は上に挙げた通りですが、最後に挙げた交代についてだけ補足を。
これは正直、結果論ではあるんですが、大久保は13分からビブスを脱いでベンチが投入の準備をしていたにも関わらず、理由は分かりませんが様子を伺ってすぐには交代に動きませんでした。
コートジボワールは大久保がビブスを脱いだ2分後にドログバが準備を始め、特に指示を送ることもなく1分後の16分には交代でピッチへ投入。
結果的にこのドログバの投入が流れを変え、18分と20分に立て続けに2失点。
しかも、この2失点の取られた形が非常に悪かった。2回とも全く同じ形で右サイドバックのオーリエからのクロスを中央でヘディングで合わせられました。
結果論ではあるものの、ドログバが投入される前or1失点目の直後に大久保が投入されていれば、流れを断ち切ることは可能だったかもしれない。
大久保も試合後、インタビューにて交代についてコメント。
「後半になると絶対にああなるって分かっていたから。ドログバ入れてきて。前半も危ないピンチがいっぱいありましたけど、後半もっと増えるなと。それで良いタイミングで入れられましたね」
「(日本の)攻撃になるとあまりプレスに来ず、緩かったので、これはいけるなって外から見ていて思ったんですけど。2-1になると引いてしまうので。1-1の場面で代えるべきだったかなって思いますね」
選手も監督もリスクを冒さず消極的な戦いが目立った日本。
この記事にも書かれているように、最後まで日本はザッケローニの采配にも迷いがあり、チームとして90分間、自分たちの戦い方ができなかった。
結局、いくら組織で戦っても最後の場面では個が大切だと本田も言及していましたが、まさに個のクオリティの面で日本はコートジボワールに対して組織で埋められないほどの差があった。
特に前半に守備の時間帯が多かった日本は、肝心なカウンターの場面でコートジボワールほどのスピードは当然持ち合わせていないし、体力面でもラインを押し上げる体力が残っていなかった。
もう一つ疑問に感じたのは、3枚目の交代。終盤、得点が必要な時間帯で得点力のある香川を下げて柿谷。
初戦の重みを考えれば、この時間帯でボランチやDFを削ってFWを投入するなどリスクを冒した交代も必要だと考えられましたが、消極的な交代でした。
そして、1点ビハインドで相手も消耗している時間帯、まさに齋藤学を投入する絶好のシチュエーションにも思えたが、最終的な選択肢は柿谷。
もちろん柿谷も強化試合で途中出場から結果を残しているものの、決してジョーカー的なタイプのFWではない。
もっと言えば、1枚目の交代で長谷部を下げたことも少し裏目に出ましたね。
投入された遠藤のパフォーマンスは悪くなかったですが、2失点後の選手たちの表情を見ていると、下を向いている選手が大半で、周囲を鼓舞している様子が見られたのはベンチに下がった長谷部だけでした。
キャプテンで精神的支柱である長谷部が残っていれば、失点後の立て直しもスムーズにできたかもしれませんね。
今更いない選手について嘆いても仕方ないですが、最終的に吉田を最前線に上げてパワープレーに出るのであれば、予めハーフナー・マイクというオプションを持っていれば...という考えも頭をよぎってしまいました。
クラブで安定したパフォーマンスは見せていないものの、アフリカ勢が相手でもスピードで十分に勝負できる永井謙佑など、ビハインドの状況で劇的にゲームを変えられるカードも欲しかったですね。
まあ、この点に関しては「日本らしいサッカーをする」ために23人を選んだわけですから、あまり考えの及ばなかった点かもしれませんが...
初戦に勝ったチームは85%が決勝トーナメント進出、引き分けたチームは58%、負けたチームは9%という確率が示すように、残念ながら日本は決勝トーナメント進出が難しい状況に。
それだけ初戦は重いんです。ましてや最終戦に最大の難敵であるコロンビアとの一戦を残しているわけですから。
「まだ2試合もある」という考えもありますが、日本が出場した過去4大会で初戦に敗れた46チーム中、決勝トーナメントに進出したのはわずかに4チーム。
もちろん選手や監督はそんなジンクスなど考えず、全力で残り2試合を戦うはず。
私が思うに初戦の出来を見る限り、残り2試合で2勝というのは極めて難しい。
そこで、最低でも勝ち点4を取ることが大切だと思っています。
そして、得失点差で並んだ場合のことを考えて最低でもギリシャには複数得点差での勝利が欲しい。
3戦目はコロンビアが勝ち点6でグループリーグ突破を手中に収めていれば、相手は多少余裕を持ってローペースに試合を運ぶ可能性もあるので、コロンビアに2勝してもらうこともベストかもしれませんね。
幸い日本は再三押し込まれながらも2失点に抑えたので、得失点差は-1。
ギリシャは-3なので、仮に日本戦で引き分けても最終戦で大量得点が必要な状況。
そう考えればコートジボワール戦唯一の良かった結果は、2失点で済んだことかもしれませんね。
残念ながら日本は過去4大会で初戦で勝ち点を奪った2大会は決勝トーナメント進出、初戦で敗れた2大会はグループリーグ敗退と、初戦の法則通りの結果が出ています。
しかし、ジンクスは破るためにあるもの。残り2戦、日本の真の実力が試されるのは間違いないですね。
個人的には精神的支柱であるキャプテン、長谷部の活躍に期待したいと思います。

