都営三田線の志村坂上駅。初めて降りましたここ。
GORGOM BASE(Studio Be 1号館 Aスタジオ)で開催中の特撮のDNA主催「仮面ライダーBLACK SUN ~覚醒~」に行ってきました。
※以下、ネタバレを多分に含みます。
会場に入って暗幕をくぐるといきなりこの感じ。うわぁ……。
うわあぁ……。血がぁ……。バッタがぁ……。
怪人ヘイトでデモ隊が掲げていたパネルや旗などの小道具類。劇中の雰囲気をよく現していて没入感があります。インスタレーションと言っていい。
モブ怪人達のヘッドがずらり。
うわぁ…、何モチーフなのコレ?コワい…。
モブ怪人の生首から振り返るとそこにはバッタ怪人2体が…。
BLACK SUNになる前のバッタ怪人形態。劇中だと真っ黒に見えるんですが、実物はエッジが緑がかっています。こういうところは実際に実物を見て知れる部分なので、こういうイベントがあるのはホントに有り難いなと思います。ツヤっツヤなのがまたイイ。
SHADOW MOONのバッタ怪人形態。ディテール自体はBLACK SUNと同じに見えるので、スーツの原型も同様ぽいですね。色味と光沢の違いで別物に見えるのが面白いです。
イヤこの雰囲気…。もうちょっとしたお化け屋敷だし…。会場内にはBGMとかじゃなく常に不穏な”音”が流れてます。
アネモネ怪人。劇中でもコワイと思ったけど実物はマジでコワイ。デザインがエグいわコレ…。でも好き。
蝙蝠怪人は音尾琢真さんの演技が非常にいい味を出してましたね。
BLACK SUNでのビルゲニアは白石監督のお気に入りキャラだけあってかなり優遇されてましたね。四人目の主人公と言っていいと思う。三人目は当然葵ちゃんです。
TV版よりも随分カッコよくなったサタンサーベル。実物はかなり精巧に作られていてちょっと驚きました。
劇中ではほぼ光太郎が乗っていた「バトルホッパー」。レトロフューチャーなデザインがイイですな。
こちらもSHADOW MOON状態では乗ることが無かった「ロードセクター」。全体にツルンとしたシンプルなデザインなんですが、ボディの左右に張り出すエンジンが厳ついです。
覚醒したBLACK SUN。全身造形のスーツってどうしてもデザイン画より太っちゃう傾向が強いと思うんですが、非常にスリムに出来ていてカッコいい。技術の向上は日進月歩ですなホントに。
マスクもかなりスリムで顔が小さい。スーツアクターの型を取ってピッタリに作ってるのかも知れませんね。
覚醒したSHADOW MOON。バッタ怪人形態よりも光沢のあるシルバーでカッコいい。
身体は各部のベルトや肩のトゲトゲ以外はBLACK SUNとほぼ同様のディテールですが、頭部は別にデザインされていて、触覚の形状もTV版のシャドームーンに寄せてますね。
創生王候補二人の後ろには3人目の主人公と三神官が。
葵が変身する蟷螂怪人。スーツアクターは女性だと思うんですが、スーツ自体も小柄でけっこう華奢です。
TV版とはかなり印象が変わった三神官の怪人態。造形がホントに素晴らしい。
いるなぁ…。部屋の隅に大きいのが…。
劇中ではなんかもう可哀そうに思えてしまう創世王(実際に可哀そうなんですが)。フルスケールの造形物でこのディテールですから、与えられる圧迫感がスゴイです。
このエキス吸い取られてる腹がもお痛々しくて…。
BLACK SUNに引っこ抜かれる心臓もぶら下がってます。
BLACK SUNの創世王形態。これもまた何とも言えないえげつないデザインでたまらないです。
この視点の定まらない眼がなんともイイ。
特撮のDNAさん主催の展覧会は過去何度か(今年はゴジラ、ガメラとありましたが)、今回はとにかく作中の雰囲気を再現した感じが今までに無かったタイプの展覧会だったと思います。キャパ自体はそれほど大きくないんですが、なかなか新鮮な体験でした。
という事で「仮面ライダーBLACK SUN」、全話視聴しました。
ネットの反応を見てると賛否両論あるようですが、それはどちらかと言うとこの作品は果たして「仮面ライダー」なのか、または「仮面ライダーBLACK」なのか?というところが争点になってるようです。
確かにゴルゴムが政党になってたりその影の支配者が総理大臣だったり、ライダーが作中あんまりバイクに乗らなかったり、でそのバイクも意思を持たないただのバイクだったり…。TVシリーズとはかなり設定の改変があるのでその辺が引っ掛かるところなんでしょう。
私個人としてはそこにはあまり関心は無くて、リブート作品は元作品のキャラクターがどう改変されるかを見るのが楽しいと思っているので、ストーリーとして破綻が無くしっかりとその作品固有のテーマが描かれていれば元作品をどれだけ逸脱してもそれ程気にならない方なんです。
今回に関しても「仮面ライダーBLACK」のキャラクター達がリブートによってどんなデザインになりどんな立ち位置になるのかを製作発表時は楽しみにしていました。そういう意味では中々の改変ぶりで良かったんじゃないかと思います。
とは言え私の中でも賛否両論はあって、まず”賛”を言うと上で述べた元作品の改変ぶり。50年前と今とを行き来することで物語に奥行きがあったし、それが登場人物達の運命の儚さとして終盤に収束していく感じは非常に良かった。それぞれのキャラクターがキチンと描かれていたと思います。とにかく葵ちゃんは可哀そう…。この作品一番の被害者だよホント。
全体に救いの無い話しではあるんですが、そこに人間の本質が見えると言うか、その「やるせなさ」に説得力があってバットエンド好きとしてはイイ結び方のラストだったと思います。
怪人との共存の中で起こるヘイトは今現在実際にある人種差別への比喩ですが、一貫してその点をやり過ぎなくらい徹底的に描いていたので個人的にはそれが「BLACK SUN」という作品に対する最も強い印象になりましたし、製作側もそれが狙いではあったでしょう。しかも結果何も変わらないというオチ…。第10話のラストの方なんかもう怪人じゃなく外国人移民への反対運動でしたからね。これが現実なんだと突きつけられて終わるラストでした。
ライダーに関してはフツーにカッコ良かったですね。覚醒後のデザインも程よい生物感でBLACK SUN、SHADOW MOON共にカッコ良かった。最終的にはそこに尽きる部分はありますね正直。デザインの良し悪しはかなり大事。
”否”の方ですが、一番気になったのは怪人たちの”着ぐるみ感”です。上の写真のように造形に関しては文句の付けようが無いクオリティなんですが、劇中での表情がほぼ無いのでどうしても着ぐるみを被ってる感じが出てしまっていてその辺が残念でしたね。ストーリー自体がかなり重たいので余計に。
せめてもう少しギミックなりCGなりで表情を作ってもらえたらその辺のチープさが無くなったんじゃないかなと思いました。アマプラ世界配信でR18指定だったら尚更その辺は気を使って欲しかったかな。まあ、時間とか予算の都合もあるでしょうけどね。
あとは”変身ポーズ”も個人的には要らなかったかなと思いました。変身する事に対しての何か説得力のある設定があればいいんですが特にそれも無いですし。バッタ男の時は「んーーん!」て踏ん張って変身するのに覚醒後は突然ポーズ取って変身するのは、重たい展開の中で「急にどした?」と感じてしまいました。
ただこの変身ポーズに関しては主演の西島氏英俊さんが熱望したそうですし実際カッコ良かったんですよね。信彦役の中村智也さんのキレのある変身ポーズも良かった。そこは仮面ライダーファンとしての目で見てしまうところですね。
この「BLACK SUN」に関しては特に監督の白石和彌氏がBLACKのファンだそうですしダブル主演のお二人も出演を熱望したそうなので、その事情を知った上で見てしまうと余計にそういった違和感を許容してしまうんでしょうね。第10話のOPも個人的には違和感と興奮の共存でしたし。何だかんだ好きなんですけどね結果。
次は来年の「シン・仮面ライダー」。過度な期待はしないつもりですが、まあしちゃいますよね。期待。