恐竜科学博 ララミディア大陸の恐竜物語 | カ素ブログ

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お出掛けレポート中心。科博多め。気が向いたらオモチャのレビュー。

7月19日からの福井旅行から2泊して横浜に戻ってきた7月21日。

新幹線で新横浜に着いたその足でみなとみらいに行きました。

 

目的はパシフィコ横浜で開催中の「恐竜科学博 ララミディア大陸の恐竜物語」。

福井を2日間観光して暑さに疲れ、3日目朝に帰って来たものの何か物足りなくて来てみました。

当日会場でチケット買っての入場でしたが、平日午後だったためか案外空いてました。

 

白亜紀後期、大陸移動によって一時的に現在の北アメリカを分断するかたちで存在していた「ララミディア大陸」の恐竜群を紹介するのが本展です。北アメリカですからね、恐竜の宝庫なワケです。

 

入場早々にドカンと現れるゴルゴサウルス「ルース」の全身骨格。

 

「満身創痍のゴルゴサウルス」という、脳腫瘍による障害から出来たと思われる全身の傷を確認できる大変珍しい標本です。脚の骨折は大型肉食恐竜にとって普遍的な症例だそうで、やはり四足歩行の恐竜に比べると二足歩行はそれだけ後脚への負担が大きかったんでしょうか。

 

満身創痍でそれでも懸命に生きようとしていたんでしょうか…。それが本能だとしても健気に思えてなんかジンと来てしまいます。そういう見方でいいのか分かりませんが。

 

よく頑張ったね。まあここの標本みんなそうなんですけどね。

 

「発見ラボラトリー」というコーナーではあらゆる特徴的な恐竜の標本が展示されています。

 

原始的な角竜にあたる「プシッタコサウルス」。かの「トリケラトプス」の祖先にあたる恐竜です。後にフリルが発達し大型化に伴い四足歩行になってあの姿が完成します。

 

かわいいトリケラトプス幼体。完全な幼体化石は未発見なので成体化石から考察再現された頭骨です。

プシッタコサウルスからこの形に進化すると思うと非常に面白い。ミッシングリンクもあるんでしょうか?

 

トリケラトプスやティラノサウルス、エドモントサウルスなどの皮膚痕化石。

素人としては皮膚の化石がこんなに色々出ている事に驚きます。

 

近年発見された「ティラノサウルス」の頭骨。日本初公開です。やっぱりカッコいい。

 

有名なティラノサウルス「スー」の右前足。ティラノの前足と言えば極端に小さい印象ですが、そこだけ見ると成人男性の腕くらいあってけっこうデカい。全然小さくないです。「バカにすんなよ」って感じ。

 

ティラノサウルスの歯もサメのように周期的に生え変わるそうです。知らなかった。

 

「ティラノサウルス亜生体またはナノティラヌスの頭骨」。ナノティラヌスは化石の出土が少なく、未だにティラノサウルスの若年なのか別種のティラノサウルス類なのか議論されているそうです。有名なティラノサウルスもまだ謎が多いという事なんですね。

 

「スー」の化石研究からティラノサウルスの寿命は30歳と推定されています。30歳でこんなにヨボヨボ…(推定)。太く短い人生です。

 

「発見ラボラトリー」の次は「少年トリケラトプスの冒険」というコーナーです。

トリケラトプスの子供を主人公にしたストーリー性のある展示。なかなか斬新です。

 

先ほどの幼体の頭骨と同様に科学的考証の元復元された全身骨格。なかなかカワイイ。

後ほど登場する「レイン」と言う成体のトリケラトプス標本の3Dデータ等も参照されています。

 

水辺のワニに驚かされたり。

 

”ホネ”なんだけどちゃんと可愛く見えます。ポージングが上手い。

 

冒険の途中で出くわす怪鳥「ケツァルコアトルス」。ものすごいデカいです。体高だけでも5m以上はあるでしょうか。これはかなり圧倒されます。

 

でまあいろいろあって…。

 

って流しちゃいけない、近年新発見された部位の化石等を追加して新たに復元された「ダコタラプトル」。

世界初の展示が横浜です。素晴らしい。

 

物語の最後「還るところ」。草食恐竜が集う水辺を表わした展示。

うしろのデンヴァーサウルスやエドモントサウルスだったりが、全部骨格標本なんだけど白亜紀後期ののどかな風景を想像させてくれる、なんだか微笑ましい展示です。

 

今展では恐竜の”生態展示”にも力を入れているようで、特にこの「少年トリケラトプスの冒険」のコーナーはそれが顕著に示された展示です。背景も無く”ホネ”だけなのに、巧みに情景を表わしています。

 

このコーナーのひとつでもある「モササウルス」。少年トリケラトプスはあんまり関係ないんで「もうひとつの世界(海中)」という事でちょっとオマケ的に展示されています。

 

と思ったらこのモササウルスも新種で”世界初公開”の標本です!全っ然オマケじゃない。

 

この次は「白亜紀体験シアター」という巨大なスクリーンでララミディアの恐竜世界を見るコーナーです。

ソニーが誇る超高精細・超高音質・風や振動の演出でフルCGの恐竜を見るんですが、個人的にはCG再現された恐竜の世界よりも前の生態展示での演出の方が情景を感じ取る事が出来た気がします。

フルCGの映像も非常に臨場感があって素晴らしかったんですが、骨格標本(レプリカ含む)とはいえ立体物として眼前にある物を軸に情景を想像するという作業が自分的に楽しかったかなと。

とは言えシアターもすごくイイですよ。自分の想像をさらに補完する事ができるんじゃないかと。

 

「白亜紀体験シアター」を終えると今展のメインでもあるトリケラトプス「レイン」の展示へ。

 

トリケラトプス・ホリドゥス「レイン」。発見されたトリケラトプスの化石としては最も欠損が少なく変形の少ない最良の保存状態で発掘された個体です。少年トリケラトプスもこの標本を元に再現されています。

ヒューストン自然科学博物館以外では日本が初の展示だそうで、そういうのもたまりませんな。

 

しかもレプリカではなく実物化石という豪華さ。変形が無いという事を注視して見ると頭骨の幅がそれなりにある事に気付く。科博のトリケラトプス(レイモンドじゃない方)はレプリカですが、正面から見ると頭が縦にかなりつぶれている事を思うとこの標本の保存状態の良さを実感します。

 

 

「レイン」がスゴイのは骨格の保存状態だけでなく広範囲にわたり”皮膚痕”が化石化しているという保存状態のダブルパンチにあります。鱗の状態がかなり鮮明に残っています。

 

「レイン」と対峙するように展示されているティラノサウルス「スタン」。こちらはレプリカと思われます。

 

「スタン」もまた良好な保存状態で発見された事で有名な化石のひとつです。躍動感のあるポーズがすばらしい。

 

 

トリケラトプスとティラノサウルスの対峙構図はまあ言ってしまえば定番なんですが、燃える(萌える)構図であることは確かです。男のロマン、ももう古いか。恐竜の女子人気も最近は高いですし。

 

恐竜科学博、非常に良かった。実物化石や日本初公開も多くて想像以上に良かったです。

平日2800円、土日3000円の入場料金は正直ちょっと高いなと思っていましたが、これは全然その価値があります。

 

 

「恐竜科学博 ララミディア大陸の恐竜物語」公式HP→ https://dino-science.com/

9月12日までです。

 

 

 

 

 

パシフィコ横浜での恐竜展は4年ぶりになります。本来は昨年に「ヨコハマ恐竜展2020」が開催予定でしたがコロナ禍で中止に。内容的にも違う形で主催もガラッと入れ替わっての今回の開催です。

昨年としても3年ぶりの横浜開催だったので中止が決まった時は残念でしたが、今年はなんとか開催してくれたのでこれは感謝です。

 

福井旅行からの流れで思い付きで来た「恐竜科学博」。福井県立恐竜博物館から恐竜三昧の三日間で(水族館も挟んでますが)疲れましたが久々に楽しかったです。またしばらく旅行には出れそうにないので、このタイミングで行けたのはよかったかなと。