国立科学博物館 特別展「大地のハンター展」と展示替えと企画展 | カ素ブログ

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お出掛けレポート中心。科博多め。気が向いたらオモチャのレビュー。

2回目と3回目の緊急事態宣言の間の3月末に上野に行ってきました。

3月9日より開催された科博の特別展を見るためです。

 

時期的には桜の時期ということで、上野公園は桜満開でした。非常にキレイ。

以前だったら花見客でごった返す上野公園も今年は規制のためにヒトは少なめでした。

 

個人的には3ヶ月ぶりの上野公園と科博。久しぶりというほどでも無いんですが、移動しにくい状況にあるからか「やっと来れた」みたいな気持ちでした。

 

で、今回の特別展の「大地のハンター展」。

昨年は特別展の開催が見送られてしまったので実に14ヶ月ぶりの特別展になります。

これまでの特別展料金は1600円だったのが今回から2000円にアップ。映画より高い。

緊急事態宣言による休館で集客を減らさざるを得ない状況では仕方ありません。納得の値上げ。

 

入場する時からちょっと予感はしてたけど、かなりの混雑ぶり。コロナ前とほぼ変わらない気が…。

学生の春休み真っ只中だったので子供、親子連れが非常に多かったです。

予約制にも拘らずこの混雑。会場の通路は広く取られてはいるんですが、壁際の展示には行列が出来ていて小さな展示はかなり見辛い。コロナ前を想起させる盛況ぶりです。正直ちょっと複雑な気分…。

 

それはそうと今回の特別展は「捕食行動に於ける生物の進化と多様性」が主なテーマです。

古生物から原生生物まで大ボリュームの標本点数。面白くないワケが無い。

 

この特別展の象徴的な展示になっているディノスクスの生体復元模型。

最新の科学的考証を元に復元されています。

 

全長12m設定です。デカい。

 

2億年以上前に出現して以来現代までほとんどその形態を変えていないというワニ。

進化の過程に於いてその余地がほぼ無い、初めから完成された生物ということなんでしょうか?

「それってもうギャオスじゃん💓」 みたいなオタク的興奮を覚えます(←変態)。

 

ワニ類の始祖にあたる「ゴニオフォリス類」の化石。すでに現生のワニとほぼ変わりません。

 

ベトナムで産出した新生代のワニ類化石。日本初公開の化石です。

近年、東南アジアでも新種のワニ類化石が多く出ているそうです。ディノスクスを超える大物が出る可能性もまだあるんでしょうか?ロマンチック。

 

「捕食に於ける顎の進化」という意味からも特別展の序盤はとにかくワニ攻めです。

 

剥製でもワニの大行進。

 

テレビの報道でも取り上げられていたアルフィーの坂崎幸之助氏が寄贈したコビトカイマンの剥製。

「科博に標本を寄贈」とかなんか憧れますな。なんにも寄贈できるものがありません私。

 

顎の進化と言えば当然「恐竜」にもあるわけですが、今特別展では恐竜は控えめです。

恐竜も扱うととんでもなく膨大な展示数になっちゃうし会場のキャパがね。テーマもボヤけるしね。

 

特別展中盤は哺乳類がメインになります。上はスミロドンの恐ろしくもカッコいい骨格標本。

 

2019年の「大哺乳類展」のごとき大量の剥製展示。ヨシモトコレクション大活躍。

 

 

剥製の「表情」に注目して見て行くと色々想像が働いてまた面白いです。

 

凛々しい視線のヒョウ。剥製の製作者も「カッコよく仕上げたい」と思いながら製作したんでしょうきっと。

 

サーバルは微妙な表情。

 

なんとなく沈んで見えるブチハイエナ。すぐ横でライオンが吠えてます(上の画像参照)。

 

”最強生物”の呼び声高いラーテル。よだれを垂らしてる剥製も珍しいな、と思ったら蜂の巣を襲う習性を再現しているそうです。

 

鳥類の剥製もいっぱい。フクロウ多め。

 

モグラもいっぱい。

 

トカゲ関係の液浸標本も珍しいのがいろいろ。

 

「偏った食性」がテーマのコーナーも非常に面白ったです。

シロアリ専門のオオアリクイ。まじまじ見るとホントに奇妙なフォルムです。

 

ヘビ類は偏食種の多い生物で爬虫類食や両生類食、哺乳類や鳥類を食べる恒温動物食。魚、陸貝、ミミズ、甲殻類、昆虫、卵それぞれの専門がいます。爬虫類、両生類、哺乳類はイメージありますが、こんなに多種多様な食性のヘビがいるのは初めて知りました。

 

昆虫も捕食という面ではそれを遂行するために非常に多種多様な進化を遂げた生物です。

擬態もそうですが今特別展ではあらゆる技法を駆使して捕食行動をする昆虫が紹介されていました。

 

セミの体液を吸うルリオオムシヒキとその”獲物”のセミ。

天敵のとなりに展示され”獲物”として紹介されるセミ。心中を察するに余りあります。

 

特別展の最後に紹介されているハンターは「人間」です。しかも「残念なハンター」として。

人間の都合による乱獲や駆除で多くの生物を絶滅に追いやってきた我々の歴史ははたして「自然のコントロール」なのか?それとも自然破壊そのものなのか?

こうした問題提起で特別展は締めくくられます。痛烈です。

 

 

こうして自然と人間の関わり方を改めて考えさせてくれるのも自然史博物館のいいところだと思います。

そんな感じで感慨に更けりながら地球館の中へ吸い込まれていくと、昨年11月から展示改修中だった1階奥の展示室がオープンしてました。

 

2019年の「大哺乳類展」で展示されていたマッコウクジラの実寸半身模型が常設になってました。

その代わり通路頭上で泳いでいたマッコウクジラの骨格標本は撤去。マッコウ被りだしね。

 

この時は企画展が3つ同時に開催されていました。せっかくなので全て見学。

日本館中央ホールでは「東日本大震災から10年-あの日からの地震研究-」としてその後の地震研究の進歩や震災の記録についての展示でした。

 

展示では震災の凄まじさを物語る遺物なども。

 

個人的に目を引いたのが震災後、科博や関係機関で行われた「標本レスキュー」の記録。

2018年の企画展で展示されていたツチクジラ標本のその後の帰郷についても記されていたのがなんか嬉しかった。故郷の陸前高田市では現在博物館を整備中とのことで、完成したらぜひ見に行きたいところです。

 

企画展示室では「メタセコイア-生きている化石は語る-」。

 

落葉樹のメタセコイアは現在は保護活動などで現生種を見る事ができますが、地球の寒冷化などで一度は日本からその姿を消しています。

東京都八王子市や滋賀県の琵琶湖(正確には古琵琶湖)で発掘された数百万年前の化石林から当時の自然環境や生態系の様子を知る事が出来ます。

 

且つての日本にはメタセコイアと共にミエゾウやアケボノゾウなどのゾウの仲間やサイの仲間も暮らしていました。今とは全く違う生態系が日本にあったと思うとなんともロマンチックの大爆発です。

 

3つめの企画展は地球館2階での「小惑星探査機『はやぶさ2』-小惑星リュウグウからのサンプルリターン-」。はやぶさ2の再突入カプセルの各部パーツの実物を展示していました。撮影NGでした。

 

 

 

 

という事で、この日は特別展と企画展3連発で盛りだくさんでした。山盛りがはみ出てました。

 

特別展での戦利品。キャップがお気に入りです。

因みに全ての特別展、企画展が終了してます。

 

 

 

 

 

 

このあと4月25日から3回目の非常事態宣言でまたしても科博は休館。6月1日から再開しましたが、会期の延長は特に無く当初予定の6月13日で特別展は終了しました。

「大地のハンター展」はもう一度行こうと思ってたんですが、まさかの緊急事態延長で都合が合わず。

ホント悩ましい限りですが、ひとまず科博は再開したのでヨシとすべきでしょうか。

 

オリンピック後が怖いです、なんとなく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3月からブログを上げていませんでしたが、なんとなくちょこちょこしていたので順次上げていきます宣言