私がガキ時代は戦時中の佐世保になる。
ここに、こわいおじさんがいたのね。浴衣がけで
腰にはぼ木剣を1本さしている。
だれが呼んだか|チャンバラ・キヨシ|
むかしの佐世保は軍港だったから、人も多かったのです。
このキヨシがウロウロしたら、通行人は大きく取り囲む
感じね。ちょっと広いところがあれば、そこにみんな
集まってくるのね。キヨシは回りをぐっとみまわすのよ。
ちょうど映画|七人の侍|のミフネだとおもえばよい。
ガキの私は一番前にすわっています。
でも内心こわいのよ。キヨシはガキの方むいてニヤリ。
そして一人芝居のチャンバラが始まります。
ツンとすました正義の男、ニヤリと笑うのは悪役風情。
走りまわって一人で役を分けながら、チャンバラをする。
拍手喝采ー。そして悪役は無惨にも斬られる、
凄い形相でゴーンと、地獄へ落ちていきます。
ガキは怖さに震えています。後日、映画で阪東妻三郎の
映画をみると、あれはチャンバラ・キヨシではないかと
思わんばかりです。さらに後日、映画黒木和雄監督の
|TOMORROW明日|に棒もったチャンバラ・キヨシが
いるんだ。原作の井上光晴は佐世保の人だ。伊万里で
やったチャンバラ・ごっこは、このチャンバラ・キヨシの芸
を盗んだのです。〈いや話が少しおおげさになったが〉
では、このへんでお後がよろしいようでー。