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無機質なアナウンスがリビングに響き渡ると、正臣の手からスルスルとスマートフォンが滑り落ち、床に虚しい音を立てた。
「嘘だ……そんなはずがない……ゆかりが、俺を捨てるはずがない……!」
正臣は頭を抱え、ガタガタと震え出した。
しかし、現実は彼に立ち止まる猶予すら与えなかった。
彼のスマートフォンが再びけたたましく鳴り響いた。
画面に表示されたのは、正臣がゆかりに言われるがままに作ったクレジットカード会社の名前だった。
恐る恐る通話ボタンを押した正臣の顔から、急速に血の気が引いていく。
「え……限度額いっぱいまで利用されてる……? 俺はそんな買い物してない! 彼女にカードを預けてただけだ!」
電話の向こうからの通達に、正臣は悲鳴のような声を上げた。
ゆかりは逃亡する直前、正臣のカードを悪用して高級時計やブランド品を買い漁り、すべて質屋で現金化して姿を消していた。
残されたのは、正臣名義の数百万を超える巨額のショッピングローンと返済不能な借金だけだった。
「どうして……どうしてこんなことに……!」
頭を抱えて崩れ落ちる正臣を見て、直子もまたパニックに陥った。
自分が自慢していた洋服やバッグを見て、甲高い声で叫ぶ。
「偽物……? これが偽物なわけないじゃない! 私、SNSに写真も載せたの! 友達にも自慢したのよ! こんなの、ただの恥晒しじゃない!」
直子は取り乱したようにバッグを床に投げつけた。
しかし、彼女の災難もそれだけでは終わらなかった。
「直子さん、それどころでもないんじゃないですか?」
私が淡々と告げると、直子の顔は土気色に変わった。
直子のスマートフォンに知人たちからメッセージが殺到し始めた。
ゆかりから紹介された「投資話」に直子経由で乗ってしまった友人たちが、連絡のつかなくなったゆかりと直子に対して不信感を募らせ、責め立ててきているのだ。
信用も、プライドも、誇らしげに掲げていた虚栄心も、すべてが一瞬にして崩壊した。
二人は青ざめた顔でお互いを見つめ合い、やがて縋りつくような視線を私に向けてきた。
つい先刻まで私を見下し、ゴミのように扱っていた口唇を震わせながら。

