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数ヶ月後。

都心の超高層ビルの一角に、新進気鋭の新設会社のオフィスがあった。

全面ガラス張りの明るいオフィス。

私は自身のブランドを象徴するような仕立ての良いホワイトのセットアップに身を包み、テラス席で淹れたてのコーヒーを口にしていた。

そこには、ブルーライトに照らされた暗い部屋で復讐を誓っていた、あの頃の姿はもうない。

「社長、先ほどプレスリリースを出した新規プロジェクト、早くもトレンド1位です。クライアントからも絶賛の連絡が来ています」

優秀な部下――かつて美優の前に「エージェント」として現れた高橋が、タブレットを片手に誇らしげに報告してくる。

「ありがとう」

私は微笑み、手元のスマートフォンを開いた。

検索窓にかつて自分を嘲笑っていた女の名前を打ち込んでみる。

出てくるのはまとめサイトの無惨な見出しと、画質の荒いスクショばかりだ。

美優が必死に守ろうとし、私を傷つけるために使おうとした「影響力」という名のガラスの城。

私はそれを自分への知名度と不倫の慰謝料として回収した。

「他人のものを奪って得る優越感なんて、ただの幻影なのにね」

私にとって夫もあの女も、もう過去のデータの端切れに過ぎない。


「さあ、次の商談に行きましょう」

私はスマートフォンをバッグへ収めると、未来だけを見据えた足取りで、光の差し込むオフィスへと歩き出した。

サレ妻の完全なる勝利の物語は、新しい光の中で鮮やかに幕を閉じた。


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