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カフェを出た私の足取りは、先ほどまでの怯えや躊躇が嘘のように力強くなっていた。


相手が夫ひとりではなく、義母も含めた二人がかりの敵であるならば、報復の規模も二倍にするまでのことだ。


その足で予約していた弁護士事務所へ向かい、担当の弁護士にこれまでの経緯と、先ほどカフェで録音した義母と不倫相手の生々しい会話データを差し出した。


弁護士は録音を聴き終えると、呆れを含んだ深い溜息をつき、同時に挑むような笑みを浮かべた。


「夫に対する不貞の慰謝料請求はもちろんですが、お義母様に関しても『婚姻関係を不当に破綻させるための教唆および援助』として共同不法行為が成立します。しっかりと準備を整えて、逃げ道をすべて塞ぎましょう」


弁護士の言葉に、私は深く頷いた。


狙いは夫単体ではなく、私を裏切り嘲笑った義母も含めた完全な社会的な抹殺だ。


私はそれから一ヶ月間、完璧な被害者を演じ続けた。



義母から


「調子はどう? 焦って夫に問い詰めたりしちゃダメよ」


と探りの連絡が入るたび、


「お義母さんだけが頼りです。言われた通り、まだ何も言わずに耐えています」


と嘘の報告を返した。


義母は電話の向こうで満足そうに鼻を鳴らしていたが、その一言一言が自分たちの首を絞めるロープになっていることなど知らない。


探偵を雇って夫と相手女性の決定的なホテル出入りの写真を確保した。


弁護士の手によって、夫、不倫相手、そして義母の三人に対する訴状と内容証明が着々と作成されていく。


報復の舞台として私が選んだのは、偶然にも一ヶ月後に迫っていた義母の還暦祝いの宴だった。


親族一同が集まるそのめでたい席こそが、彼らが積み上げた偽りの平和を爆破するのに最もふさわしい場所だった。


私は笑みを浮かべながら、その日を静かに待ち続けた。





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