あなたにサラダ④
「ね~ね~、ウォンシクにお願い♪」
なんだ、この天使…もとい、このテンション。
「連れてって欲しいところがあるから、連れてって♪」
えへへ、と笑いながら小首を傾げて…こ、これが30になる男だなんて…なんて…か、可愛い…\(//∇//)\
「どこです?どこへ行きたいんですか?」
自分はあなたと天国にイきたいです、と不埒なコトを考えながら問いかけた。
「あのね、スーパー」
「スーパー?スーパーってスーパーマーケットですか?」
「うん、ジェジュンヒョンが手配してくれてたネットスーパー、手違いでキュウリしか入ってなかっなの。りんごは絶対いるし、でもボク、キャベツとレタスの見分けつかないし…だから、ウォンシク、お願いっ‼︎」
話が全然見えない。
「…ヒョン、料理されるんですか?」
「うん…ユチョンの誕生日だから」
はにかんだ微笑み。
…可愛い…。
だけど、この笑顔すら、今は居ないあの人へのものなんですね…。
複雑な思いでそれを聴きながら、急遽入ったミッションをシュミレート。
稽古の終わる時間を考えると、閉店間際か?
若い女性客は少ないだろうから、まずパニックは起きないだろう。
ひと気の少ない、閉店間際のスーパーで、ヒョンの細い腰に手をまわして警護するなんて…チャー○ー・グリーン…照。
我ながら、不毛な思いをおくびにも出さずに答えた。
「判りました、稽古の帰りに寄りましょう」
「ありがとう、シギシギ~♪大好き‼︎」
ご機嫌MAXになったあなたが、盛大な鼻歌で歌うのは、なぜか五人時代の名曲“TAXI”…。
けれど。
警護の対象が、この人である。
そんなしっとりとした雰囲気になんかなるはずも無く…。
「ヒョン、それはキャベツでは無く白菜です」
「え~、じゃいらないや。返しといて」
そう言われて目を離した隙に居なくなり…大汗かいて探して、やっと見つけた雑誌のコーナー…。
「…ヒョン‼︎」
「あ、シギシギ~、これ面白いの」
…また、そんな大きな声で…。
「なら、それはご自宅で読みましょう」
支払いもカードでスマートに…のはずが、滅多に無いブラックカードの登場に、若いレジ担当者の男が、軽く混乱…そして。
…気がついたらしい。
カードとレシートを返し際に、やわっ、と手を握る。
返されたカードとレシートを手にきょとん、とするヒョンを引きずって、なぜか袋二つ分の荷物を運び、車に連れ込む…。
…物凄く、疲れた。
残業代欲しい…。
けれど。
「ありがとう、シギシギ。本当に助かったよ…ボク一人じゃ、無理だったよ~♪」
その笑顔。
プライスレス。