阿蘇の魅力が詰まった本 | 「週刊・東京流行通訊」公式ブログ

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東京に暮らす中国人が見た、リアルタイムのこの国のすべて・・・






九州の熊本県の阿蘇市では、有名な火山である阿蘇山を訪れたり、農場ですばらしい農村の景色を楽しんだりすることができる。熊本が「火の国」と呼ばれるのは、阿蘇山があるからというだけではないのかもしれない。村落の農場まで歩いていくと、「火の国」で暮らす現地の人々の純朴な情熱を感じることができるのだ。作家の福田章さんがここに定住し、阿蘇について世界に伝える努力をしているのも、このような人々の魅力に惹きつけられたからなのだろう。

作家でエッセイストの福田章さんは、1958年に長崎県に生まれ、青山学院大学文学部に学んだ。現在は、企画・出版会社「ソクラテス」の代表で、日本エッセイスト・クラブの会員である。著書には「旅に出たくなる日本語」「カルデラ・ショック!」などがある。98年に阿蘇に移住した福田さんは、近年、阿蘇について世界に宣伝するために努力しているが、今回「カルデラ・ショック!」が中国語と韓国語に翻訳されることになった。この軽妙な筆致の想像力に満ちた物語によって、隣国の人々に阿蘇の魅力が伝えられることだろう。「カルデラ・ショック!」の中国語タイトルは「阿蘇的不可思議」(阿蘇の不思議)で、短編小説が30篇収められている。写真もついており、小説を読むだけでなく、阿蘇の旅行ガイドとして読むこともできる。中国語圏のみなさんがこの「阿蘇的不可思議」を手に阿蘇の街を歩けば、美しい風景を鑑賞すると同時に、小説によって美しい景色につつまれた物語を味わい、身も心も充実した旅を楽しめることだろう。


この本を中国語に翻訳したのは、熊本県国際協会に勤める霍達さんである。霍達さんは92年に日本に留学し、現在は仕事のかたわら、ボランティアとして積極的に外国人向けの日本語教育活動に参加している。今回の小説集の中国語訳には、著者の新作である「二つの博覧会」も収録されている。これは著者が2010年に阿蘇ペンクラブのメンバーとして上海万博に参加した時の体験をテーマとした創作である。異なる視点から描かれた小説によって、我々は外国人作家が見た上海万博についても知ることができる。


昔から、「万巻の書を読むは、万里の路を行くに如かず」と言われる。旅に出ると我々は、日常生活では見たり感じたりできないものを得ることができる。だが、旅に出る時に自分の好きな本を一冊携えていけば、電車の中で暇つぶしをするだけでなく、本によって心も旅に出ることができるのだ。いつかみなさんが阿蘇に行く時は、是非この「阿蘇的不可思議」を持っていってほしい。書名の通りに阿蘇の不思議の中に浸って、旅を満喫することができるだろう。













写真提供:福田章

「旅に出たくなる日本語」 http://www.j-n.co.jp/books/?goods_code=978-4-408-00790-8