めっきり寒くなってきましたね。あと半月もすれば新年です。新年と言えば、真っ先に思い出すのがお餅です。日本人はお正月にお餅を食べますが、焼いてから醤油をつけて海苔で巻いて食べるか、あるいはお汁粉の中に入れて食べます。寒い日に、アツアツのお餅にかぶりつくと、本当においしくて幸せな気持ちになります。 私もお餅の大ファンですが、今日みなさんにご紹介するのは、ちょっとそれとは違った「よもぎ餅」です。よもぎ餅は草餅とも呼ばれ、よもぎの葉ともち米を一緒に練って作ります。日本語の「餅」は、中国語では「麻=」(注:=「米」に「署」は中国語で餅のこと)に当たります。九月に奈良に取材に行ったとき、奈良駅そばの東向商店街を行った先の、三条通ぞいにある中谷堂で餅つきの実演を見ました。日本全国でいちばんおいしいと言われるこのよもぎ餅の特徴はどこにあるのでしょうか?この店の経歴はなかなかすごくて、「TVチャンピオン」という番組で2回も餅つき王になっているのだそうです。店のご主人は、二十年以上お餅をついてきた職人さんです。当日餅つきが始まると、たくさんの観光客が集まってきました。ご主人と杵を持った従業員が、リズム感のある掛け声をかけながら呼吸を合わせて作業をするのですが、ものすごい速度で、一方は杵で餅をつき、一方は両手で餅をたたいたり裏返したりします。餅のかたまりはこの作業によってよく伸びるようになり、手で軽く引っ張ると長く伸びますが、切れることはありません。本当にすごいなと思います。やがて従業員がつきたてのアツアツのお餅を機械の中に入れると、丸くて新鮮なよもぎ餅が成型されて出てきました。最後にお餅に黄粉をまぶすと、中谷堂の看板商品、よもぎ餅のできあがりです。 私は最初、甘みがあって皮がちょっと硬い食感だろうと思っていましたが、一口食べてみたら、きめ細かくて柔らかく、弾力もあって、ものすごくおいしいんです!餅を噛んで軽く引き伸ばすと、長~く伸ばすことができます。中に包まれた小豆の甘さと柔らかさも、ちょうどいい具合です。それは私が今まで食べたことのある食感とは全く異なっていて、一つ食べたらとりこになってしまいました。この店では、佐賀県産のもち米と愛媛県宇和島産の柔らかいよもぎの新芽を使ってよもぎ餅の皮を作り、餡には北海道の十勝の有名な小豆を使っているそうで、食材に一級品を使っているのでこんなにおいしいのだとわかりました。日本の職人は自分の作品に対して、作るなら最高のものをという真摯な姿勢を持っていて、私はいつも深く敬服しています。こんなにおいしいものを食べられるのだから、彼らに感謝しなければなりませんね。おいしいお餅を食べた後は、心も楽しくなってきます。次回みなさんが奈良にいらっしゃる機会があれば、ちょっと寄って食べてみてくださいね。(哈日杏子執筆) |
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