満員電車での心の持ち方 | 「週刊・東京流行通訊」公式ブログ

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東京に暮らす中国人が見た、リアルタイムのこの国のすべて・・・

「エアコンなしの、満員電車の真夏がやってきた!!!」――夏至も過ぎて、日本のサラリーマンたちはこれまでに経験したことのない試練に直面せざるを得なくなっている。天気予報の予測によれば、今年は昨年ほどの炎暑にはならないようだが、東日本大震災の影響による深刻な電力不足で、列島は「節電」の掛け声に溢れかえっている。エアコンに頼ることに慣れた日本人は、とうとう耐え切れずに悲鳴を上げ始めている。


現在東京の交通利用総量のうち、地下鉄は86%を占め、ニューヨークの54%、パリの37%、ロンドンの35%を遥かに上回っている。また一日総計633万人が利用する地下鉄では、満員のピーク時には汗をかいた人々がくっつき合って、体臭や「加齢臭」に窒息しそうになる。さらに、窓を開けて自然の風を入れることができない密閉式の車内では、この長い夏の日々をどう過ごすかが、答えの出ない悩みとなっている。


そのため、街には車内の不快感を取り除く「爽快感をもたらす商品」が次々に登場している。東京都は今月から、サマータイムの出勤制度を導入し、通常より最大二時間早く出退勤して夜間の電力を減らし、車内の混雑を緩和させている。また小田急電鉄では、車内に殺菌消臭効果があり、森林の香りがする揮発性物質を散布することを既に10年前から行っており、これが今新たに注目されている。


ふと、日本新聞協会の「HAPPY NEWS」大賞に選ばれた「満員電車、友だち10人」という記事を思い出した。ある会社の女子社員は、東京都内の企業内の保育園に子供を預けているため、毎日二歳の女の子を連れて満員電車に乗らざるを得なかった。子供がうるさくするのを気にして、彼女は毎日同じ時刻に同じ車両に乗車した。そのうちに、同じ車両の乗客と思いがけない交流が生まれ、十人の「電車友だち」ができてしまった。子供の無邪気さが、元々は知り合いでもないサラリーマンたちに精神的な安らぎを与え、おじさん、おばさんたちが相手をしてくれたために、娘は満員電車を恐れることもなかったのである。


人情味溢れるこの記事と、今年の盛夏の満員電車のつらさはまた別の話だから、同列に論じることはできないが、このニュースの内容は、私を含めた満員電車を利用するすべてのサラリーマンが参考にできるものを含んでいる。それは――どんな状況にあっても、心の持ち方が最も重要だということだ。「エアコンなしの、満員電車の真夏」がやってくる。「心静自然涼(心が静かならば、自ずから涼しい)」という境地を持ちたいものである。

(C)Michael Wolf “Tokyo subway dreams”

HAPPY NEWS「満員電車、友だち10人」 http://www.readme-press.com/happynews/result/2010/cat638/10-1.html