「冷淡」から「思いやり」へ | 「週刊・東京流行通訊」公式ブログ

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東京に暮らす中国人が見た、リアルタイムのこの国のすべて・・・

昨年末から日本で話題になっているのは、全国47の県で児童福祉施設に次々と匿名のプレゼントが届いているというニュースで、全部で400件を超えているという!そのうち、ランドセルが贈られたのは300件で、現金は1000万円に達した。その他、自転車、野菜、鶏肉などもあった。不景気の風が吹き、他人をかえりみる余裕などまったくない世の中で、「冷淡な日本」が、突然愛情溢れる「思いやり列島」になったかのようである。


寄付者はほとんどが匿名で、しかも神出鬼没だ。一部の人々は、60~70年代の名作漫画「タイガーマスク」の主人公「伊達直人」を名乗っている。伊達直人とはどんな人物なのだろうか?彼は、孤児院で育ったプロレスラーで、試合の時にいつも虎のマスクをかぶっていることからその名がついた。彼は自分の試合の賞金を、自分を育ててくれた孤児院に寄付し、しばしばそこを訪れて子供たちと遊んでいる。


現在、日本全国には600ほどの児童福祉施設があり、約3万人の子供たちがそこで生活している。彼らの多くは両親を亡くした孤児か、両親に虐待された子供たちである。ここ10年来、施設の児童は10%以上増加しているが、施設はとても小さく、子供たちの生活費や教育費も不足しており、職員も低賃金で働いており、関心を寄せるべき社会問題となっている。「伊達直人」たちが思いやりの心をここに投げかけたことは、意味のある選択であった。


「伊達直人」たちの優しい行動は「タイガーマスクブーム」を引き起こすと同時に、「典型的な自己満足の偽善だ」とする辛らつな批判も受けた。特に、盲目的に我も我もと真似をする行動によって、善意という動機が望み通りに達せられなくなってしまった。そのため、全国児童養護施設協議会では、ネット上でこのような声明を発表した。「子供たちと児童養護施設に寄付をいただき、大変感謝しております。ただ、事前に施設にお問い合わせいただくとありがたいです。」この微妙な表現には、多少の困惑の気持ちが感じられる。


だがいずれにしても、最初の「伊達直人」の勇気が、日本全国に人間世界の温かい思いやりを広げ、内向きの人間関係を打ち破る重要なきっかけになったことは間違いない。共感を得たら、あっという間にそれが広がる。こうした「冷淡」から「思いやり」への過程こそ、今後人々の目を社会に向けさせる新しい傾向になるのかもしれない。

Photo by Yao Yuan

社会福祉法人全国児童養護施設協議会 http://www.zenyokyo.gr.jp/