スピリチュアルな旅~熊野古道を歩く~ | 「週刊・東京流行通訊」公式ブログ

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日本三大古道のひとつである熊野古道は、紀伊半島南部にあたる熊野の地と伊勢や大阪・和歌山、高野及び吉野とを結ぶ古い街道の総称で、熊野街道とも呼ばれている。このあたりは古くから山岳宗教の霊験所として、人々が訪れる聖地であった。2004年7月7日には、熊野古道を含む「紀伊山地の霊場と参詣道」が、世界遺産に登録され、より多くの人が熊野古道を巡るようになった。

そんなスピリチュアルな熊野古道、一番の見所はなんといっても「那智の滝」だろう。高さ133m、幅13mの大瀑布のこの滝、滝の背後や周囲の山々がすべて原生林に覆われていた昔の姿を想像すると、そこは霊場さながら、まるでたくさんの神々に守られているかのような、とても不思議な気分になる。さらに直下にあるお滝拝所に降りると、その滝の迫力を体感することができる。そばにある熊野那智大社は、滝を神とする自然崇拝から起こった社である。

滝を見たあとには、伊勢路にある、熊野古道の代名詞とも言われる石畳道へ。この道は鎌倉時代に作られたものといわれ、全長650m、高低差は約100mもある。苔むす石畳を歩いていると、樹齢約800年の夫婦杉、古の関所跡や霊場への入り口といわれた「降りかせ橋」などがつぎつぎと姿を現す。道の周りにはたくましく生い茂る森などが手付かずのまま残り、昔の人々が感じたであろう自然への畏敬の念を同じように感じ取ることができる。こうやってこの道は今も、「祈りの道」として地域の中に根付いていることを実感するのだ。

しかしなぜ、この地がここまで信仰を集めているのか。その理由は言い伝えや昔話にしばしば現れる「熊野権現(熊野三山に祀られる神)」の説く「浄、不浄をきらわず」の言葉にあるのかも知れない。男女貴賤を問わず、来る者全てを救うという寛大さが、熊野の神々の魅力であることは間違いないようだ。 熊野の神々と大自然からパワーをもらい、日頃の疲れを癒すというスピリチュアルな熊野古道めぐりが、ひそかなブームになりつつある。

世界遺産「熊野古道」伊勢路 http://www.pref.mie.jp/kodo/