こんにちは、お菓子の港や洋菓子担当の林です!
さて、今日は「これからクロカンブッシュを作ろうとしている人へ」という超ニッチなコンテンツです!
何を隠そう、わたくし先月結婚式をしまして、その披露宴会場に自作のクロカンブッシュを持ち込んだのです。
そういえば、作っているときは目の前のことに必死で、全長何㎝あるのか知らなかったので、この機会に実測。
リボンの飾りまで含めると約95㎝!シュー200個以上が使われています。がんばりました!
ということで、今日はこのクロカンブッシュ作りで得た貴重な経験が誰かのお役に立てば、、そんな内容です。
そもそもクロカンブッシュって何?
一言で言えば、シューを積み上げたタワー。
フランスの伝統的なウエディングケーキの一種で、元々キャベツを意味するシューを積み上げることは、豊作や子孫繁栄を意味する。要するにおめでたいお菓子。ソースはWikipedia。
本物ORイミテーション?
上項のWikipediaにも書かれているように、本来のクロカンブッシュはお披露目の後は「木槌で割りながら分けて参列客に配る」ものなのだそうですが、そうすると以下のような不都合が。
・クリームを詰めないシュー生地だけだとあまり美味しくない
・クリームを詰めるとシューが柔らかくなり、強度の維持や品質管理が難しくなる
・クリームを詰めると重くなるため、接着が難しくなり、高さが出しにくくなる
一方イミテーション(偽物)の場合は、食べられない代わりに利点があります。
・食感を気にせず強度のあるシューを使える⇒大きなクロカンブッシュにも挑戦しやすくなる
・温度管理や賞味期限に気を遣う必要がなくなる⇒時間的に余裕をもって準備できる
・人の口に入ることがないので、接着剤なんかもつかえる⇒作業効率UP!
やはり、自分の結婚式前日に慌てたくないですからね(笑)
そんなこんなで、我が家のクロカンブッシュは、イミテーションという選択になりました!
以下、具体的なお菓子作りの話です。
より安価で強靭なシューを作ろう
イミテーションのシューとは言え、基本的には普通のシューです。
とりあえず、お手持ちのお菓子作りの本に載っているレシピをご覧ください。
ただし、人の口に入ることがないシュー生地。味は無視できるわけですから、置き換え・省略しても見た目・焼き上がりに影響がないものがあります。
・「無塩バター」があれば、全量をサラダ油に置き換えましょう。
・「牛乳」があれば、全量を水に置き換えましょう。
・「砂糖」「塩」があれば、省略しましょう。
以上、これらは味に個性を出すものなので、無くても生地は膨らみます。原価を抑えられるところは抑えましょう。
逆に、小麦粉・水・油分・卵は必須です!
仕込み方も通常通りでOK。初めての人は、いきなり本番用の大量のシューを作ろうとせず、1,2回は練習しておいた方がいいかもしれません。その本の通りの卵の分量でうまく生地がふくらむかどうかを確認した方がいいのと、(慣れている人は、生地の状態を見ながら微調整すればいいです)あとは、絞りの大きさの確認。理想のクロカンブッシュを作るために、どのくらいの大きさのシューがいくつ必要なのかを概算するのをお勧めします。まさに急がば回れ、ですね。
では続いて絞りの工程。
ここで私はちょっとした失敗をしてしまいました。
いつものクセで、同じ大きさのシューを量産してしまったのです。
後々型に張り付ける段階になってから気づいたのですが、大きさの揃ったシューばかりだと、どうしても空白部分が出てきてしまうのです。
ここは、基本のシューよりも小さめのものも3割くらい(不慣れであればもはや色んな大きさのものがあっても多分何とかなります)のシューを作ることを強くおすすめします。
後は、基本的なことですが、焼成前のシュー生地は乾燥しやすいので、空気に触れた状態で放置しないこと。すぐに焼けない分は、絞り袋に入れるか、ボウルに濡れ布巾をかぶせましょう。
焼成の工程は、まずはお手持ちの本の通りに。大体200℃くらいで30分前後といったところでしょうか。
ただ、ここで一工夫。本の通りだと、(味はさておき)食感の良いシューが出来上がってしまいます。しかし今回作りたいのは強靭なシュー。具体的には、時間が経ってもしぼまない、作業中にうっかり手が当たってもへこまない、そんなシュー。
ということで、焼きあがったシューをそのまま120℃くらいの低温の窯で1時間以上乾燥焼きにしましょう。この温度であれば焼き色が付きすぎて焦げるようなことはありません。
通常の焼成用と乾燥焼き用でオーブンが2台あるのが理想ですが、無いようなら、少し焼き縮みの恐れがありますが、全ての生地を焼き終えてからオーブンの温度を下げてそこから地道に乾燥焼きをしていきましょう。
1時間以上経つと、シューを10㎝くらいの高さから落とすと「コン」という音が鳴るようになります。こうなれば完成。
ちなみに、乾燥焼きにしたシューは、硬さ以外にも、日持ちがしやすくなる、という利点もあります。湿気た場所に置かなければ長期保存可能なオブジェになります。おかげで、我が家のクロカンブッシュも式場から持ち帰られ、冒頭の写真でご覧いただいたように、現在リビングの片隅に鎮座しております。これ、梅雨を乗り切れたらずっとここにいるんじゃ…
シュー生地が焼けたら接着!
おっと、接着の前にすることがありました。
型の準備です。
このように市販されているものもありますが、やたら値段が高いし好みの大きさに調節することができません。
そもそも今作ろうとしているものはイミテーションなので、衛生面は気にする必要なし!洗って再利用も必要ないですよね。
ということで、文具屋さんで一番大きいサイズの厚紙と、ホームセンターで大きくて丸いトレー(お盆のような縁があるものでもOK)を買ってきて、あとはあなた好みの円錐を作りましょう。
トレーはラッピング用の包材やお好みの布等でくるめば模様や色は隠せるので、サイズ重視で選んでくださいね。
そして、接着。
本家のクロカンブッシュでは飴が使われますが、飴は温度のキープが難しく、すぐに固まってしまいます。やる前はなぜこんな面倒なものを使うのだろうと思っていましたが、やってみて納得。飴の強力な「固まる力」が重要だったのです。例えば、チョコレートの力では、同じ効果は望めません。
さて、イミテーションでは、飴ではなく、「ボンド」を使いました。
そう、あの赤と黄色の、あのボンドです。
他にも良いものがあるかもしれませんが、例えば、グルーガンは失敗でした。
シュー生地のもつ油分のせいで表面に馴染まず、すぐにぽろっと取れてしまうのです。
横の列を揃えながら、後は下地が見えないように丁寧に接着していきます。飴のようにすぐ固まるわけではないので、手を放しても落ちないように、バランスを見ながらシューを配置するのがポイント。
飾り付けはセンスのままに!
我が家のものは造花を中心に「花嫁」っぽく装飾をしましたが、もうこの先は自由!
チョコカラーで色づけしたチョコを上掛けしたり、マカロンを散りばめたり。あるいは既製品のキャンドルやリボンをあしらってもいいかもしれません。いずれにせよ、シューだけだとどうしても単調な茶色の世界なので、彩りを与えてあげましょう♪
というわけで、ざざっとクロカンブッシュの作り方でした!
皆さんもセンス溢れるインパクトの大きなクロカンブッシュを作ってみてくださいね~
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