33歳までトラック運転手をやっていた僕が、タイ東北部の小さな町で日本語教師デビューし、そこで2年間の経験を積むことができたことは幸運だったと思う。
僕のような未熟者に、失敗を重ねながら成長する場を与えてくれたタイという国と、受け入れてくれた学校には感謝しかない。
僕は2年間そこで経験を積み、日本に帰ってきたが、もちろんもっと長くタイで働くこともできた。
でも、少なくともその学校では2年という期限がちょうど良いと思った。
1年だと短すぎる。
理由は、最初の1年の経験を通してたくさんのことを学んでも、それを活かすことなく終わってしまうのはもったいないし、学校にとってもメリットが少ないからだ。
学校としては、1年かけて育てた人がいなくなって、翌年また一から教えなくてはならないわけだから、本当は長く勤めてほしいに決まっている。
でも、だからと言って、長く勤めるのが良いとも思わない。
その理由は、次に来る日本人教師にとっては、それがかえって負担になると思うからだ。
タイに3年もいれば、そこそこタイ語が話せるようになるし、タイの学校のシステムや流れもわかる。
いちいち人に聞かなくても状況がつかめるようになるし、周りも世話を焼かなくてよくなる。
授業の失敗も減るだろうし、クラスをある程度コントロールすることもできるようになるだろう。
けれど、そんな人がいなくなって、その人の代わりを務めることになる後任者の負担は大きい。
初めてタイへ来る後任の日本人教師は、最初は人間関係や仕事や生活のことなど何もわからないし、不安もある。
そして、学校の先生や生徒たちからは、事あるごとに前任者と比べられることになる。
前にいた日本人は、こうだった、ああだったと話を聞かされることもあるだろうし、そのたびに自分の力不足を感じるかもしれない。
後任者にかかるストレスを軽減するためには、周囲の理解と援助が欠かせない。
でも、引き継ぎ期間がない以上、前任者が後任者のためにできることは限られている。
日本人は皆、次の人のために使えそうな教材を残しておいたり、手紙を書き置きしたり、最善をつくすものだ。
僕の前任者もそうだった。
僕の場合、前任者の任期は1年間だったから、僕の負担はさほど大きくなかった。
それに比べると、僕の後の人は少し大変だったのではないかと思う。
僕は2年間でかなりタイ語が話せるようになったし、読み書きも少し覚えた。
タイ人教師たちとも、ずいぶん仲良くなってしまった。
週に一度は教師仲間と焼き肉に出かけたし、事あるごとにパーティーに呼ばれ、酒を飲み、カラオケを楽しんだ。
そうやって僕がタイの暮らしに馴染み、彼等と仲良くなった分だけ、僕の後任者の負担も増してしまったかもしれない。
毎年、2名の中国語教員が入れ替わり、2〜4名の英語教員も入れ替わる。
日本人教員も、毎年替わってもいいと思う。
学校側としては、長く勤められる人に来てほしいだろうが、新しく赴任してくる人のことを考えると、やはり1〜2年ぐらいの任期がちょうどいいのではないかと思う。
↑任期満了し、退任する中国・ベトナム人教師と私
