Adieu Romantique No.580
『Here Comes The Spring』
春が近づいてきている。少し前まではあんなに寒かったのに(手がちぎれそうなほどだったのになぁ)、ここ数日の昼間は春のような暖かさだ。
このままどんどん暖かくなればいいのにと思っていたのに、昨日からまた気温が下がってきてる。そんなにうまくはいかないよね。多分、また暖かい日が何度かやって来て、また寒くなって。そうして少しずつ、少しずつ春がやって来るんだ。そう。所謂、三寒四温という、とてもよく出来た季節の巡り方で。
花粉に悩まされている人にとっては、それどころじゃないかも知れないけど。「やっぱり春が好き」という人は多いんじゃないかな。ものごとをスタートさせるにも、ちょうどいいというような感じも含めて。キラキラ✨した予感のようなものが溢れ出してくるんだ、きっと。
そう、少し遅く目覚めた朝には。カーテン越しに差し込む光を受けて、ベッドの中で微睡みながら、現実と夢の間を行ったり来たり。いつまでもぼんやりしていたいと思う、そんな春に。とても心地よい風がそよぎ、陽光が溢れ、周囲の花や緑が輝き始める、そんな春に。タイトルも(ずっと書いている)『Here Come The Girls』の流れで『Here Comes The Spring』にして。音楽や写真やアートやその他、何やかんやを散りばめながら、ひと足早い春を感じてみたいと思う。
📷️耳を澄ませば。春の足音が聞こえてくるような、そんな写真から。
![ニコ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/051.png)
![音譜](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/038.gif)
僕の愛しい人よ
長くて
寒くて
寂しい冬だった
僕の愛しい人よ
もう何年も
ここにいたような感じだよね
でも
太陽が昇ってきたよ
そう
太陽が昇ってきたから
もう大丈夫さ
来るもの拒まず、ていう訳じゃないけど。 そう言えば、元ロキシー・ミュージックのトリック・スターだったブライアン・イーノが1974年にリリースしたファースト・ソロ・アルバムのタイトルは確か『Here Comes The Warm Jets』だったけ
朝の微睡みの中で
夢と現実の間を往き来する、大切な時間
90年代に竹村延和が率いて活動したスピリチュアル・ヴァイヴス【Spiritual Vibes】の『One Blue Moment』。
![音譜](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/038.gif)
春の音楽が聞こえる
妖精たちの囁きが聞こえてくる
僕の中では。勝手に『Here Comes The Fairy』と付けておきたい曲。もちろん春の訪れを感じたい時にも、この曲は外せない。シンガポールの男女デュオ、アスピデイスラフライ【Aspidistrafly】の『Landscape With A Fairy』。まるで妖精たちが「こっちにおいで」って言ってるような、そんなキラキラ✨感が眩い。
春には 感受性が研ぎ澄まされていく
素敵な恋が始まったり
時には傷つくこともあるだろうけど
シルジュ・ネス【Silje Nes】の2007年のアルバム『Ames Room』から『Bright Night Morning』。
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僕が大好きな詩人、谷川俊太郎の処女詩集『二十億光年の孤独』から春の詩をひとつ。やわらかな春の陽射しと花の匂いと、僅かな翳りが交差する、素敵な一篇だと思うな。
『春』
かわいらしい郊外電車の沿線には
楽しげに白い家々があった
散歩を誘う小径があった
降りもしない 乗りしない
畠の中の駅
かわいらしい郊外電車の沿線には
しかし
養老院の煙突もみえた
雲の多い三月の空の下
電車は速力をおとす
一瞬の運命論を
僕は梅の匂いにおきかえた
かわいらしい郊外電車の沿線では
春以外は立入禁止である
(現在は堀込高樹のソロ・ユニット)キリンジ【Kilinji】の2021年リリースの曲『ただの風邪』を日本語と韓国語で歌詞が出てくるPVで。寒かったり、暖かくなったり。気温の変化が激しい、いまの季節にはくれぐれも風邪をひかないようにね。
🎨春と『Kawaii』は何故かとても相性がいい。日本の女性アーティスト、長井朋子【Tomoko Nagai】(1982~)の可愛いドローイングを。アンティークなテディベアだとか、好きなものだけを詰め込んで。ピンクを中心に淡い色彩が広がる、とても春らしい世界。ここには誰も抗えないような無敵の「Kawaii」があるよね。
グレゴリー・チェルキンスキーとパスカル・ボレルによるフレンチ・ポップ・デュオ、ミカド【Mikado】の82年のシングル曲『Romance』。フワフワ感が春の微睡みの中へと誘ってくれる。
最後の曲は。最初にセレクトしたビートルズの『Here Comes The Sun』を、ジャズ、ソウル、ゴスペルを自由自在に往き来する偉大なるシンガー、ニーナ・シモン【Nina Simone】のカヴァーで。ビートルズとはまた違った味わいがあって。春の眩い光に吸い込まれていきそうになるんだ。
今回は『Here Comes~』の特別編みたいな感じになったかなぁと思いつつ。春の訪れを待ち詫びながら、現実と夢の間を行ったり来たり、さ迷っていようと思う。
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