Romantique No.0487 架空の音楽バーで。Xmasの夜を静かに過ごすための…。 | 『アデュー・ロマンティーク』~恋とか、音楽とか、映画とか、アートとか、LIFEとか~

『アデュー・ロマンティーク』~恋とか、音楽とか、映画とか、アートとか、LIFEとか~

僕が過去と現在、ロマンティークと感じた(これから感じることも)恋や音楽、映画、アートのいろいろなことを書いていきます。

こんにちは。僕のブログ『アデュー・ロマンティーク』へ、ようこそ。
 
もうすぐクリスマス🎄毎年、必ずと言っていいほどやって来るクリスマスを「どのように過ごすか」について、今年もまた同じように何となく考えていたzzz
 
クリスマスだからといって「必ず誰かといっしょにクリスマスを過ごさなければならない」ということはなくって。そう。例えば行きつけの音楽バーにひとりで出かけるのもいいかも知れない。店内の飾り付けも、いつも流れている音楽も、少し雰囲気が変わっていて。お店のマスターが特別にセレクトしてくれる、とっておきの音楽が流れてくるというシチュエーションで、ひとり静かに過ごすクリスマスの夜も悪くはないな、と思っている。
 
まぁ、クリスマスの過ごし方なんて千差万別、人それぞれでいいんじゃない、ということで(当たり前だぁーおーっ!)。
 
今回は。『架空の音楽バーで。Xmasの夜を静かに過ごすための…』。言葉の先は、余韻を残しつつ静寂の中へ消えていく。
 
そう。架空の音楽バー「アデュー・ロマンティーク」【adieu romantique】では、普段お店の壁を飾っているアートもクリスマス仕様のものに(あくまでも僕の趣味嗜好で)変えてみた。
 
🎄ジャクソン・ポロックバーネット・ニューマンウィレム・デ・クーニングらと共に抽象表現を推し進めた偉大なるアーティスト、マーク・ロスコ【Mark Rothco】(1903~70)の作品を。
 
 
 
 
 
さて、と。オープンの時間だ。いつもの通り手際よく。だけど、特別な夜のためにささやかな愛を込めて。Xmasの夜を静かに過ごすための…そんな音楽をコンパイルしていこう。
 
オープニングはこの曲から。
 
🎄オノ・ヨーコ【Yoko Ono】
『ほら、聞いてごらん、雪が降っているよ』
【Listen , The Snow Is Falling】
1971年にリリースされた名曲。プラスティック・オノ・バンドがバックを務めている他、ジョン・レノンがギターで参加している。
 

 🎄オノ・ヨーコのインスタレーションを。
 
 
🎄オノ・ヨーコと親交があったジョン・ケージ【John Cage】の1976年の作品『Apartment House 1776 : Harmony No.20 , O Give Thanks』By The Arditti Quartet。ケージの音楽は難解と言われるものが多いけれど(「難解な音楽」っていったい何だろううーんと、ふと考える)、例え難解なものであっても、なくっても。ケージの音楽には「美しい」と思える瞬間がある。

 
音楽と音楽の間に。カクテルとカクテルの間に。そして空間と空間の間に。音楽バーでは突然、詩が詠まれることがあってもいいと思う。「静寂」ととても相性がいい、フランスの詩人アンドレ・デュ・ブーシェ【André du Bouchet】の詩を、一部抜粋で。
 
 
『流れ星』【Météore】
 
  わたしの息である不在が
  また降りはじめる
 
  紙のうえに
 
  雪のように
  夜が現れる

  わたしは書く
 
  できる限り
  わたしから遠く
 
 
🎄ヨルグ・フォラートのエレクトロニカ・ソロ・ユニット、ヴンダー【Wunder】の1998年にリリースされた傑作アルバムから、とても不思議な、夢心地になれるような曲『Look Out For Yourself』
 

 

🎄あっ、そうそう。お店の隅っこには、ポップ・シュルレアリスムのアーティスト、マーク・ライデン【Mark Ryden】のクリスマス・ツリーもちゃんと飾った。

🎄とても個性的なピアニスト、チリー・ゴンザレス【Chilly Gonzales】の、2020年にリリースされたクリスマス・アルバム『A Very Chilly Christmas』から『Snow Is Falling In Manhattan』ft.Iarvis Cocker And Feist。「ほら、聞いてごらん、マンハッタンに雪が降っているよ」という感じで。

 


🎄まだ活動を始めたばかりの新しいグループ、スターリング・アロー【Starling Arrow】の曲『Wild Street』。女性たちの自由で美しく、ナチュラルな歌声が実に魅力的。
 

🎄名和晃平【Kohei Nawa】の作品を。素材が持つ物性から観る人の知覚が開かれてゆくような。神々しいまでの鹿のシリーズ。

 

🎄1976年にドイツの音楽レーベル「ECM」からリリースされたパット・メセニー【Pat Metheny】のデビュー・アルバム『Bright Size Life』〈ECM1073〉から、リリシズムに溢れたタイトル曲を。参加メンバーはウェザー・リポートに加入する前の、まだ無名だった頃の天才ベーシスト、ジャコ・パストリアスと、ドラムのボブ・モーゼス


 🎄スウェーデンのジャズ・ピアニスト、ヤン・ヨハンソン【Jan Johansson】(1931~68)による、スウェーデン民謡をジャズで解釈、演奏したアルバム『Jazz Pa Svenska』から『Visa fran Utanmyra』。このstrangeな美しさはいったい何だろうか。とにかく、とてもロマンティークなのだ。
 

 
🖊️2022年のクリスマスに贈る、僕が書いた詩のようなものを。
 
 
  『無題』
 
  真っ白で
  真っ白な
  遠近感の無い世界で
 
  愛のために
  僕は呼吸する
 
  愛のために
  僕は匂いを嗅ぐ
 
  愛のために
  僕は夢想する
 
  愛のために
  僕は硬直する
 
  愛のために
  僕はダンスを踊る
 
  愛のために
  僕は五感を研ぎ澄ます
 
 
  愛のために
  僕にできること
  
 
  真っ白で
  真っ白な
  遠近感の無い世界で
 
  愛のために
  君のために
  そして
  未来のために
 
 
🎄フィービー・スノウ【Phoebe Snow】の1974年のデビュー・アルバムから『ポエトリー・マン』【Poetry Man】を。
 

 
 🎄スペイン現代絵画の巨匠、アントニ・タピエス【Antoni Tapies】(1923~2012)の作品を。

 

 

 

🎄これも「ECM」からリリースされたアルバム『Witch-Tai-To』〈ECM1041〉から。ボボ・ステンソン【Bobo Stenson】のピアノが際立つタイトル曲を。メンバーはボボ・ステンソン・クァルテットの他、ヤン・ガルバレクパレ・ダニエルソンヨン・クリステンセンが参加している。
 

🎄アイスランドのレイキャビク出身のSSW、エミリアナ・トリーニ【Emiliana Torrini】の2005年のアルバム『Fisherman’s Woman』から『Sunny Road』。この人の曲はどれもクオリティが高く、とても魅力的。


🎄トランペット奏者、ニルス・ラングレン【Nils Landgren】のクリスマス向けのシリーズ・アルバムから。彼の温かい歌が聴ける『Comin' Home For Christmas』を。

🎄レイチェル&ヴィルレイ【Rachael & Vilray】のぽかぽか温かい曲『Do Friends Fall In Love?』
 

🎄日本人トラック・メイカー、Sweet Williamのアルバム『Blue』からの曲『Calendar Girl』。子供たちがクリスマス・プレゼントにもらうカラフルなオモチャのような、とても可愛らしいHip-Hop。


🎄カナダのオンタリオ州ハミルトンという街を拠点に活動しているSSW、スコット・オー【Scott Orr】の2018年のアルバム『Warried Mind』からピュアな歌声が染みる『Seasons』
 

 🎄後にトレイシー・ソーンエヴリシング・バット・ザ・ガールを結成するベン・ワット【Ben Watt】が1982年にリリースした12inchシングル『Summer Into Winter』から『Walter And John』ft.ロバート・ワイアット【Robert Wyatt】



 🎄1985年に。イギリスのインディ・レーベル「Rough Trade」からリリースされたヴァージニア・アストレイ【Virginia Astley】のシングル曲『Melt The Snow』。まるで天使が歌っているようなこの人の音楽は、どれもクリスマスの夜を静かに過ごすのにぴったりだと思うな。
 

 
🎄デヴィッド・シルヴィアン【David Sylvian】の1987年のアルバム『Secrets Of The Beehive』から。何て素敵なタイトルだろうか。『天使が詩人を夢見る時』【When Poets Dreamed Of Angels】
 

 🎄デヴィッド・シルヴィアンナイン・インチ・ネイルズのアート・ワークを担当してきたイギリスのアーティスト、ラッセル・ミルズ【Russell Mills】(1952~)。深淵な彼の作品からはアンドレイ・タルコフスキーの映像世界や、龍安寺の石庭の日本的な「間」や「美」といったものも感じ取ることができる。
 
 
 
 
 
 
 
 
🎄今、最も注目すべき音楽家のひとりサム・ゲンデル【Sam Gendel】と革新的な若手ジャズ・ベーシスト、サム・ウィルクス【Sam Wilkes】による、2018年のコラボレーション・アルバム『Music For Saxofone & Bass Guitar More Songs』から『Theem Prototype』。刺激的だよね。
 

 
🎄こんなクリスマスツリーがあってもいいんじゃないかな。戸谷成雄【Shigeo Toya】の作品は、単なる彫刻ではなく、インスタレーションとして表現されている。個人的には先のラッセル・ミルズの作品と共振するような気がするんだけど、どうだろうか。
 🎄スウェーデンのSSW、スティーナ・ノルデンスタム【Stina Nordenstam】の1994年のアルバム『And She Closed Her Eyes』から『When Debbie's Back From Texas』
 

 🎄ラッセル・ミルズもそうだけど。イギリスのアーティスト、イアン・ウォルトン【Ian Walton】の作品もまた、根源的な「記憶の匂い」のようなものを感じ取ることができる。
 
 
 
 
 
 
 
✨🎁✨今年のクリスマスに。もしも誰かに何かをプレゼントするなら、1990年代に都築響一が編集し、京都書院から刊行されていた「Art Random」シリーズの一冊、ラッセル・ミルズイアン・ウォルトンの作品がコラボされた画集を贈りたいなうーん

 

🎄イギリスのジャズ・ボーカリストであり、ボイス・パフォーマーでもあるノーマ・ウィンストン【Norma Winstone】の、「ECM」から2018年にリリースされたアルバム『Descansado~Songs For Films』〈ECM2567〉からタイトル曲を。



🎄石川九楊【Kyuyo Ishikawa】(1945~)
現代の日本を代表する書家。書のことはほとんど分からないけど、この人の書を初めて観た時、その内包されている「宇宙」を感じて興奮した覚えが。そして後には、(あくまでも僕の主観に過ぎないけれど)石川九楊の一連の書がラッセル・ミルズイアン・ウォルトンのアートやアンドレイ・タルコフスキーの映像世界、デヴィッド・シルヴィアンの音楽と繋がっていくことになる。因みに。この人の作品集も先と同じく京都書院の「Art Random」シリーズから出ていた。
 
 
 
 
 
🎄イギリスのジャズ・ミュージシャンであり、プロデューサーでもあるマシュー・ハルソール【Matthew Halsall】ゴンドワナ・オーケストラ【The Gondwana Orchestra】の2014年のアルバム『When The World Was One』のカッコいいアルバム・カヴァーと(使われている絵はフランク・ステラなのかな)、このアルバムからじゃないけど、同じグループによるヴォーカル入りの曲(歌っているのは Josephine Oniyama)『Into Forever』を。
 

 
🎄ニーナ・シモン【Nina Simone】(1933~2003)のデビュー・アルバム『Little Girl Blue』からタイトル曲を。彼女だけの、彼女にしか歌えない「祈り」のような曲。聴いていると魂が震える瞬間がある。
 


🎄詩人であり、ジャズやソウルミュージックを行き来するミュージシャンであり、シンガーでもあるギル・スコット・ヘロン【Gil Scott- Heron】の、1971年にリリースされた傑作セカンド・アルバム『Pieces Of A Man』から『I Think I'll Call It Morning』
 

 
🎄ジャズ・サックス奏者ゲイリー・バーツ【Gary Bartz】の、1973年のアルバム『I've Known Rivers And Other Bodies』からスピリチュアルな曲『I've Known Rivers』を。
 

 
🎄今年の9月に惜しくも亡くなってしまったジャズ・サックス奏者、ファラオ・サンダース【Pharoah Sanders】の1974年の傑作アルバム『Love In Us All』から『Love Is Everywhere』を。少々、長い曲だけど、構えたりせずに聴いているととてもリラックスできる。
 


🎄イギリスのマンチェスターを拠点に活動するラッパー&シンガー、IAMDDBの2019年リリースのアルバム『Swervvvvv.5』から、とてもCoolな曲『Urban jazz』を。
 

 
🎄ラヴァーズのレゲエ・シンガー、ビッティ・マクリーン【Bitty Mclean】の2013年の、スライ&ロビーのプロデュースによるアルバム『The Taxi Sessions』から。ジャマイカン・レゲエの伝説グラッドストーン” グラディ ”アンダーソンへのオマージュ『In And Out Of Love』を。
 

 
🎄ブラジルのサンバの超名曲。エスコーラ・ヂ・サンバ(サンバの学校)【Escola de Samba】マンゲイラのドン、カルトーラ【Cartola】(1908~1980)の、1977年にリリースされた名盤『愛するマンゲイラ』【Verde Que Te Quero Rosa】からタイトル曲を。クリスマスとサンバ。意外な組み合わせかも、だけど。こんな曲でクリスマスの夜を過ごせたら素敵だと思うな。
 

 
🎄緩やかで。緩やか過ぎて時間が止まってしまうようなフリー・フォーキーなバンド、ヴェティヴァー【Vetiver】の2015年のアルバム『Complate Strangers』から『Stranger Still』

 

 
🎄トレイシー・ソーン【Tracy Thorn】の2012年のクリスマス・アルバム『Tinsel And Lights』から『Joy』。昔からずっと。僕は彼女の、さまざまな感情を内包した、その声と歌い方の魅力に抗うことができなかったんだ。
 

 

🎄ジュリー・バーン【Julie Byrne】のアルバム『Even Not Happiness』(2014)から『Natural Blue』。ジョアンナ・ニューサムを引き合いにして語られる、美しいシンガーの、讃美歌のような美しい曲。
 

 
🎄イギリスのSSW、ルーマー【Rumer】のアルバム『Into Colour』(2014)から『Baby, Come Back To Bed』を。まるでカレン・カーペンターの歌声が、音楽レーベル「A&M」サウンドでそのまま蘇ったような音楽。何度、聴いても決して聴き飽きることがない。
 

 
🎄カナダを代表するSSWの曲をカヴァーしたKd.Langの2004年のアルバム『Hymns Of The 49th Parallel』から『Case Of You』を。
 

 
🎄デヴィッド・シルヴィアンルー・リードを魅了したジョーン・ワッサーのソロ・プロジェクト、Joan As Police Womanの2008年のアルバム『To Survive』から、そのタイトル曲を。

 

 
🎄ジャン=リュック・ゴダールが撮った映画『ゴダールの探偵』レオス・カラックス『汚れた血』に出演し、ジャン=ピエール・リモザンの『天使の接吻』で主演デビューしたフランスの女優、ジュリー・デルピー【Julie Delpy】の、2003年にリリースされたアルバムから『A Waltz For A Night』を。
 

 
 🎄2013年にリリースされた、佐野元春&ザ・コヨーテ・バンドによるクリスマス・シングル曲『みんなの願いかなう日まで』
 

 
🎄ロバート・ワイアット【Robert Wyatt】の、1983年のアルバム『Nothing Can Stop Usから静かな反戦歌『シップビルディング』【Shipbuilding】を。ロバート・ワイアットの歌が心の深い部分にまで染み渡ってくるよう。


🎄サラミ・ローズ・ジョー・ルイス【Salami Rose Joe Louis】の2017年のアルバム『Zlaty Sauce Nephew』から『Not That Lovely』を。不安定なサウンドに導かれる、星のような、夢のような、愛のような音楽。或いはスペース・ジャズ・エレクトロニカ。
 

 
最後はとても有名なクリスマス・ソングを。
 
🎄ジョン&ヨーコ【John & Yoko】『ハッピー・クリスマス(戦争は終わった)』【Happy Xmas(War Is Over)】
1971年にリリースされたシングル曲。クレジットはJohn & Yoko & The Plastic Ono Band With The Harlem Community Choir。曲は、ヨーコの「Happy Christmas , Kyoko」(Kyokoとは、ヨーコさんの2番目の旦那様アンソニー・コックスとの娘)、という小さな囁きと、ジョンの「Happy Christmas , Julian」(Julianとは、ジョンの前妻シンシアとの息子)という小さな囁きから始まる、愛に溢れた曲。
 

 

ジョンとヨーコによって。この歌が最初に歌われてから、何度目のクリスマスがやって来たのだろうかと「ふと」考える。この歌で歌われた「おかしくなってしまった世界」は少しはまともになったのだろうか?そして国や人種、貧しい者も富める者も関係なく、世界ではすべての争い(戦争)がなくなったのだろうか?
 
Love&Peaceのために。僕が以前、制作したオリジナルT-Shirtsもこの架空の音楽バーの隅っこに掛けておこう。

すべての争い(戦争)を終わらせる唯一の方法は、世界中の「すべての人」が「すべての争い(戦争)がなくなること」を心から望むことだけである。
 
それでは、また。
アデュー・ロマンティークニコ