まず最初に音楽を。グレン・マーサーが中心になり結成されたザ・フィーリーズの1980年のアルバム『Crazy Rythm』から、ビートルズで一番、長い曲名の『Everybody's Got Something To Hide Except Me And My monkey』のカヴァーを。脱力と言っている割にはエネルギーとスピード感があるけど、これはこれでいいか。まぁまぁ壊れかけているし。因みにこのバンドには後にゴールデン・パロミノスを結成するアントン・フィア(ds)が参加していた。
という訳でもう1曲。1930~50年代にかけてニューヨークの路上で生活をしながらストリートで演奏をしていた盲目の音楽家であり詩人であったムーンドッグ【Moondog】ことルイス・トーマス・ハーディン(1916~1999)の、1957年にリリースされた足踏みによるポンコツ・パーカッションなアルバム『More Moondog』から『All Is Loneliness』。ほんとゆるくってさ。味があるんだよね。
1983年のアルバム『Hi , How Are You』から『Big Business Monkey』。そして、トレード・マークになったカエルのような、或いはダニエル自身のようなドローイングのアルバム・カヴァー。
🎨「ガロ」系漫画にありそうと言えば、ありそうだな。
Sara Hagaleのドローイング。とてもささやかな絵。とてもささやかなイマジネーション。だけど。そのとても深い「余白」が観る人の「心の力み」を解きほぐしてくれるんだ。
ジェーンとマーク・リッテン兄妹を中心に1981年に結成。ネオ・アコースティックの流れで1985年まで活動したTrixie's Big Red Motorbike。トレーシー・ソーンもメンバーだった「マリン・ガールズ」の、ジェーン・フォックスとも仲がよくって。その音楽は、まるで壊れかけの人形のような可愛く、アノラックの先取りじゃないかと思うほど。
曲は『Norman And Marcissus』。
🎨何で、こんなシーンを描こうと思ったんだろうか。
ニルヴァーナのカート・コバーンが「大好き」を表明していたアノラック・バンド、ヴァセリンズ【The VASELINES】の(カート・コバーンは先のダニエル・ジョンストンもリスペクトしている)『Son Of A Gun』と、ガールズ・アノラック・バンド、タイガー・トラップ【Tiger Trap】の『Sour Grass』を続けて。
フリッパーズ・ギターの1989年のデビュー・アルバム『海へ行くつもりじゃなかった』の中に収められていた曲『さようならパステルズ・バッヂ』でリスペクトされた、スティーヴン・パステルが率いたパステルズ【The Pastels】の1989年のセカンド・アルバム『Sittin' Pretty』からの曲『Nothing To Be Done』を挟もう。
🎨何処か変だよね。いや、そんなに変でもないか。
🎨「Fight For Peace」と高らかに宣言しながら。こんなに力が籠っていない握り拳じゃ、ね。まさに「Power Free」(パワー無添加)なへなちょこ具合だ。
90年代初め頃に。めちゃくちゃ面白いと思えた音楽のひとつ。「神は私の副操縦士」という名を持つGod Is My Co-PilotはNYのLive Houseを拠点に活動していた、所謂、ニッティング・ファクトリー系のバンド。アヴァンギャルドで知的で。何処か壊れていてヘタウマな、とても魅力的な音楽。曲は『She's So Butch』。
音楽はクラップ・ユア・ハンズ・セイ・ヤー【Clap Your Hands Say Yeah】の2007年のセカンド・アルバムからタイトル曲『Some Loud Thunder』を、脱力アニメーションが流れるPVで。
🎨ニコラス・バロウズが描く夏向きのイラストレーションにも独特な緩さが。
アウトサイダー・アートのヘンリー・ダーガーが描いた壮大な架空の物語からバンド名前が付けられたガールズ・ロック・グループ、ヴィヴィアン・ガールズ【Vivian Girls】の2011年のシングル曲『I Heard You Say 』を。(誰が描いたのけは分かんないけど)カヴァー・アートもしっかり脱力してるよね。
プロデュースはメイヨ・トンプソン。PUNK~New Waveの流れで、1979年に登場したザ・レインコーツ【The Raincoats】のアルバムから『スーパー・マーケットのおとぎばなし』【Fairytale In The Supermarket】と、ちょっと「~主義」的な国の匂いがしないでもないアート・ワークを。
90年代に。渋谷系の流れで登場してきたシトラス【Citrus】の、「VINYL JAPAN」からのCD『Citrus Plant For Little Kids』(1994)から『I'm Sure You See With Your Eyes』を。とにかく制作・リリースされたすべてがアナログ・7inchシングルか、ミニ・アルバム的なCDシングルだったことが何よりこのグループの特質を表しているし、音楽的なセンスは渋谷系の中でも際立っていたと僕は思うな。