今回は。何でもありなレゲエの、そんな「雑食」な魅力を『レゲエのフットワークス』【Footworks Of Reggae】というタイトルに置き換えて、さまざまなレゲエをPICK UPしていこうと思う。
まずは、僕がレゲエに嵌まり込む入口になった72年制作、78年日本公開の映画『ザ・ハーダー・ゼイ・カム』【The Harder They Come】のサウンド・トラック・アルバムから、主演のジミー・クリフ【Jimmy Cliff】が歌ったタイトル曲と『Sitting In Limbo』、そして名曲中の名曲『Many Rivers To Cross』を。ソウルフルだけどレゲエであり、レゲエだけどソウルフルな、そんな素敵な歌を。
1975年7月18日、ロンドン・ライシアム・シアターでのボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズによる傑作ライヴ・アルバム『LIVE!』から。皮肉にもクラプトンがカヴァーしたことでレゲエという音楽が世界中に知られることになった『I Shot The Sheriff』と、誰もこんな風には絶対に歌うことができないであろう名唱、そして名曲である『No Woman No Cry』を。
ボブ・マーリーの魅力を大きく更新した、4枚組のセレクト・アルバム『Songs Of Freedom』から。キャリアの最初の1歩となった62年のデビュー曲『Judge Not』。めちゃくちゃロマンティークな『Guava Jelly』、「アイランド」以後では珍しいDUB『One Dub』。そしてみんな大好き『One Love / People Get Ready』の12inchヴァージョンの4曲を。
ピーター・トッシュとミック・ジャガーのコラボ曲『Walk And Don't Look Back』。若くしてモンスターなバンドを率いていたミックよりも、ピーター・トッシュの方がヤバい感じが。そして87年にジャマイカのキングストンで自宅に押し入ってきた強盗に襲われ、ピーターが射殺されたというニュースを聞いて、改めてキングストンの治安の悪さに衝撃を受けてしまったのだった。
内田裕也がプロデュースした、日本における本格的なハードロック・バンドだったフラワー・トラヴェリン・バンドのハイトーン・ボーカリスト、ジョー山中がソロになり、レゲエに取り組んだ83年のアルバム『My Reggae Music~レゲエ・バイブレーションⅡ』から、僕の大好きな曲『Dance To The Reggae』を。
80年代中頃に。当時、日本のレゲエ・シーンの高い期待を背負ってデビューした、若きレゲエ・シンガー、PJを擁したクール・ラニングス(バンド名はバニー・ウェイラーの曲からかな)。彼らの代表曲はUKレゲエの雄アスワドの名曲『Back To Africa』のカヴァー。しかしなんだな。日本人のバンドが(PJにそういった血が流れていたとしても)「アフリカへ還ろう」と歌うことの意味は当時も今もちょっと分からないや。
さて。本家のレゲエに戻ろう。
ジャスティン・ハインズ&ザ・ドミノス【Justin Hinds & The Dominoes】の『JEZEBEL』から『Natty Take Over』を。
マックス・ロメオ【Max Romeo】の『Open The Iron Gate』から『Every Man Ought To Know』。この緩さときたら、もう。
シュガー・マイノット【Sugar Minott】のアルバム『Getto-logy』から。ニーノ・ロータが作曲した『ロミオとジュリエット』のテーマ曲を下敷きにした『The People Got To Know』と、そのDUBバージョン『The People Got To Dub』を。
サード・ワールド【Third World】のアルバム『Journey To Addis』から。日本でもヒットして、Discoでもよく流れていた『愛の砦』【Now That We Found Love】。因みに当時、彼らのLIVEに一度、行ったことがある。初めての生レゲエ体験だった(さすがにボブ・マーリー&ウェイラーズの一度きりのLIVEは体験することができなかった。体験した人がほんと、羨まし過ぎだ)。
ここでブリティッシュ・レゲエを挟んでみよう。
UB40は、後に『Red Red Wine』など、明るくキャッチーな音にシフトチェンジするけれど。80年にリリースされたアナログ2枚組のデビュー・アルバム『Signing Off』から、Coolなのに微熱を感じる2曲
『Tyler』と『King』の2曲を。アルバムのカヴァーには、バンド名でもある【Unemployment Benefit, Form 40】(=失業給付40号様式)の申請書をそのままデザインするなど、戦闘的なスタンスをゆったりと、打ち出している。そういうところが、いかにもブリティッシュ・レゲエらしいな、と思う。
また、ジャマイカのレゲエへ。
メンバー全員が何らかの身体的障害を持つイスラエル・ヴァイブレーション【Israel Vibration】の78年の名盤『The Same Song』から、ゆる過ぎるタイトル曲で今回の記事を緩やかに締めることにするね。