ロマンティークNo.0297 何処へ行こうと自由気儘な『Go To 妄想トラベル』。 | 『アデュー・ロマンティーク』~恋とか、音楽とか、映画とか、アートとか、LIFEとか~

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僕が過去と現在、ロマンティークと感じた(これから感じることも)恋や音楽、映画、アートのいろいろなことを書いていきます。

こんにちは。僕の【アデュー・ロマンティーク】へ、ようこそ。

今、日本では国が打ち出したキャンペーンがスタートしたが、僕のブログでも、多少、便乗した感は否めないものの(もちろん、内容はまったく関係はない)、僕なりのトラベル企画を提示したいと思う。題して、『何処へ行こうと自由気儘なGo To 妄想トラベル』。

最近、特に思うのだけど、今、僕の中では「イマジネーション」がとても大切だと思っている。「イマジネーション」があれば、他人を思いやることができるし、多様性を認めることができる。自由な発想でモノやコトを捉え、自分という枠を超えて新しい思考を生み出すこともできるんじゃないかと、そんなことを思っている訳だ。

そのようなことで。今回は「イマジネーション」を「妄想」という言葉に置き換えた、「妄想トラベル」に皆さんを連れ出そうと思う。「妄想トラベル」には参加資格もなければ制限はない。移動距離は関係ないし、時空さえも飛び越えることができるのだ。

さぁ、あなたなりのイマジネーションで、Let’s Go To 妄想トラベル!(ちょっと無理矢理感があるよねえー?)

そして、僕からは。Go To トラベルを手助けするための、いくつかの装置を紹介しておくね。

日本にシュルレアリスムを紹介した詩人、瀧口修造がごく親しいアーティストのために制作し、贈った「リバティ・パスポート」。如何なる束縛も規制もないイマジネーション豊かなパスポート。贈られたアーティストたちは自由の翼を拡げて「ここではない何処へ」と飛び立って行ったのだ。因みに、詩人の大岡信に贈ったリバティ・パスポートの表紙には「詩人旅行必携」と書かれている。


クラフト・エヴィング商會(吉田浩美と吉田篤弘のユニット)による『すぐそこの遠い場所』。この本に関わらず『クラウド・コレクター』や『ないもの、あります』、『らくだこぶ書房21世紀古書目録』など、彼らの著作は豊かなイマジネーションを基本にしてユーモアたっぷりに書かれ、制作された架空の世界の案内本であり、そのすべてに、どこか稲垣足穂の『一千一秒物語』の香りを漂わせている。
本の中では自らが制作した、箱庭的なアートが散りばめられていたり。イマジネーションを喚起させ、現実から離脱させるための装置として機能させている。
1930年代にイタリア未来派に参加したグラフィック・デザイナー、プロダクト・デザイナー、絵本作家であり、詩人でもあったブルーノ・ムナーリが想像し、創造した、いくつものナンセンスな機械がユル~いイラストで紹介されている『ムナーリの機械』。たとえば「目覚まし時計をおとなしくさせる機械」とか「怠け者の犬のためのしっぽ振り機械」だとか。その、ひとつひとつのタイトルはまるでエリック・サティの曲のタイトルのよう。イマジネーションはかくも自由である。因みに先のクラフト・エヴィング商會はムナーリからも影響を受けているような気がするけど、どうだろうか。


「妄想」の心構えや準備ができたなら。一応、今回は僕の独断で夏向きの音楽を揃えてみたので、音楽を聴きながらリビングルームから、或いはベッドルームから「妄想トラベル」へと旅立ってもらえたら、と思うもぐもぐ。到着する先は、名もない島かも知れないし、宇宙のどこかなのかも知れない。とにかく、行き先はあなたのイマジネーション次第。恐らくそこは「ここではない何処か」なのだ。

音譜夏になったら必ず聴きたくなる(僕のブログでは何度も紹介してきた)マーティン・デニーの音楽。イメージを喚起させるためにアルバム・カヴァーも付けておこう。一応、ハワイの音楽家だけど、ハワイ限定でもなく、遥か遠くの、とても心地いい場所に連れて行ってくれるはず。
マーティン・デニーの代表作『エキゾチカ』と『Exotica volume Ⅱ』。曲は『Quiet Village』。そして『Exotica』を。サウンドはとてもゴージャスなのに、どこかチープな偽物感が魅力。


とても雰囲気のあるアルバム『Exotica』と『Exotica  volume Ⅱ』のカヴァー。



音譜マーティン・デニーと同じく、エキゾチック・サウンドで人気が高いレス・バクスターの67年のアルバム『African Blue』から『Magenta Mountain』を。

アルバム・カヴァーも恐ろしくスタイリッシュだ。


音譜さらにエキゾチック・サウンドは続くよ。という訳で、アーサー・ライマンのアルバム『Pearly Shells』。



音譜ウクレレによるJAZZ、ジャズ・ウクレレのパイオニア、ライル・リッツ【Lyle Ritz】の50年代の録音盤から『Blue Lou』と、日系のウクレレ奏者ハーブ・オオタとのLive盤から『Fly Me To The Moon』。



音譜日本のロックの起源、はっぴいえんどの代表作(つまりは日本のロックの代表作)『風街ろまん』から細野晴臣の『夏なんです』。多くの日本人にとって共通のイマージュ。遠い昔の、日本の何処かの夏へと連れて行ってくれる曲(意外にも宮崎駿のアニメーションの世界とも繋がっているようにも思う)。


音譜音楽王、細野晴臣の70年代のソロ・ワーク。まずはエキゾチック3部作の第1作目、75年の『トロピカル・ダンディ』から『絹街道』と『北京ダック』を。




音譜エキゾチック・シリーズ2作目、76年の『泰安洋行』から『蝶々さん』と『サヨナラ~Japanese Fairwell Song』、『ポンポン蒸気』を。





音譜エキゾチック・サウンド3作目、78年の『はらいそ』から『東京ラッシュ』と『ジャパニーズ・ルンバ』を。




音譜YMO結成の直前。78年に細野晴臣、鈴木茂、山下達郎によって制作されたコズミック・トロピカル・アルバム『Pacific』から山下達郎作曲・編曲の『Nostalgia Island』を。



音譜元東京大学の総長であり、思想家であり、映画評論家でもある蓮實重彦の息子、蓮實重臣と三宅剛正によるユニット、パシフィック231のアルバム『Tropical Songs』から『Jewels Of The Ocean』と『Special Guide Book』の2曲を。因みにパシフィック231というグループ名は、20世紀初頭に活躍した音楽家、フランス六人組のひとり、アルチュール・オネゲルの曲のタイトルからの引用である。




音譜Wunderのデビュー・アルバムは、とても不思議な音楽でできている。曲は『Look Out For Yourself』と『Brazil』を。



音譜ポルトガルの細野晴臣(僕が勝手にそう思っているだけ)ブルーノ・ペルナーダスの『Ya Ya Breath』。


音譜沖縄音楽のレジェンド、嘉手苅林昌の名唱『海のチンボーラー』。沖縄音楽って、どこかで宇宙と繋がってような気がするんだなうーん


音譜90年代からずっと無国籍な音楽を創造してきたダブル・フェイマスの『Two Ladies In De Shade Of De Banana Tree』と『Jump Up』を。



音譜そして最後は。有名曲『ハイサイおじさん』の作者でもある喜納昌吉&チャンプルーズの80年のアルバム『ブラッドライン』から名曲『すべての人の心に花を』で締め括ろう。打ち寄せる波のような緩やかなメロディ、喜納友子の歌唱。そしてゲスト参加の、ボーダーレスな音楽家ライ・クーダーのアコースティック・ギターやスライド・ギターの音色が『ここではない何処か』へと飛ばせてくれる。「妄想トラベル」とは、実は「魂の放浪」でもあるのだと、教えてくれているようだ。


今回の記事で紹介したのほとんどの曲は、僕の過去のブログでUPしてきたものばかり。だけど。僕という人間は定期的に、イマジネーションの力を借りて(しかも同じやり方で)、「ここではない何処か」へ行く必要があるのかも知れない(自分のことなのによく分からないな)。それが例え、他人から見れば現実逃避と呼ばれるものであったとしても。

そう。僕はそんなに強い人間じゃない。

それでは、また。アデュー・ロマンティークニコ