ロマンティークNo.0146 『蕩けてゆく』。幻視者たちが描いた、幻想絵画の眩い官能。 | 『アデュー・ロマンティーク』~恋とか、音楽とか、映画とか、アートとか、LIFEとか~

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僕が過去と現在、ロマンティークと感じた(これから感じることも)恋や音楽、映画、アートのいろいろなことを書いていきます。

こんにちは。僕のブログ【アデュー・ロマンティーク】へ、ようこそ。

 

幻想絵画。幻視者たちのイマージュが生み出した甘美なる人工楽園。時に美しく、残酷で、官能が溢れる世界。現実の裏側にある、もうひとつの世界であり、時に現実よりもリアリティをもって心の奥底を震わせるもの。その世界を前にすると僕には成すすべがなく、ただ「蕩けてゆく」だけである。ゴシックからルネサンス、マニエリスム、バロック、ロココを経て現代まで。西洋美術の永く深い歴史の流れにあって、いつの時代においても幻視者たちが創造した幻想は、人々を眩惑し、魅了し続けてきたのではないだろうか。

 

そのような幻想絵画の中で。今回は、幻想絵画の宝庫とも言える、19世紀末の「象徴主義」【symbolisme】の絵画(その周辺も含む)に幻視を集中させ、過去、僕の記事で紹介しきれなかった、いくつかの幻想絵画を紹介していきたいと思う。

 

それでは。皆さんが幻視者となり、イマージュの扉を大きく開け放っていただけることを願って。

 

■ギュスターヴ=アドルフ・モッサ【Gustav-Adolf Mossa】(1883年~1971年)。フランス象徴主義の最後の世代の画家である。ニース美術館の館長を務め、ギュスターヴ・モローやリュシアン・レヴィ=デュルメル等の画家やマラルメやボードレールらの象徴主義の文学に影響を受けている。一見、イラストっぽく見える画風。幻想という重く、深い世界にモダン(?)な感覚が混じり込んでいるのは、モッサがポスターなどの仕事をしていた、今でいうところのグラフィック・アーティストの資質も持ち合わせていたからかもしれない。

 
 
 
 
 
 
 
 

■ロシア象徴主義の大画家、イリヤ・レーピンの作品『水の下の王国のサトコ』。眩いばかりの世界。大好きな作品である。

 

■アレクサンドル・セオン【alexandre seon】(1855~1917)の作品。ギュスターヴ・モローやフェルナン・クノップの世界に共通する神話性を観ることができる。

 
■フレデリック・ベルトラン・マッセス【Frederico Beltran Masses】(1885~1949)。「象徴主義」の画家ではないと思うが、幻視者であることは間違いはない。濃厚なエロティシズムに抗うすべはなく、ただ「蕩けてゆく」のであった。

 
 
 

 

■カルロス・シュヴァーベ【carlos schwabe】(1866~1926)。卓越した技巧による重厚な作品から、ホドラーのような作品まで広く幻想を描いている。

 
 
 
 
 

■ローレンス・アルマ=タデマ【lawrence alha-tadema】(1836~1912)。「象徴主義」絵画の巨匠である。

 
 
 
 

 

■フランツ・フォン・シュトゥック【franz von stuck】(1863~1928)。「象徴主義」の絵画の中でもとりわけ人気が高い画家。その甘美な世界は唯一無二である。

 
 
 
 
 

■ヴィルヘルム・リスト【Wilhelm List】の作品を。

 
 

■ミハイル・ヴルーベリ【michail vrubel】(1856~1910)の作品。

 

■ウジェーヌ・グラッセ【eugene grasset】(1845~1917)の作品。

 

■ウジェーヌ=ロベール・プゲオン【eugene-robert pougheon】(1886~1955)。新古典主義の画家らしいが、僕にはシュルレアリスムの作品に見えるのだが。

 

 

今回は「象徴主義」の画家を中心に、今まで僕のブログで紹介しきれなかった幻視者たちと、その作品を並べてみたのだが。もちろん、すべてが素晴らしい作品だし、個人的にも面白いと思えるものを紹介している訳だけれど、「象徴主義」の絵画を語るときには、(あくまでも僕の主観だが)やはりギュスターヴ・モローとその作品、オディロン・ルドンとその作品、フェルナン・クノップフとその作品を入れておかないとどうも据わりが悪いと思うのが正直なところだ。ギュスターヴ・モローについては。過去のブログでも何度か紹介してきたし、僕自身、若い頃、パリのモンマルトルに近い「9区」にある「ギュスターヴ・モロー美術館」(モローのアトリエであり住居でもあった建物がそのまま美術館になっている)に行ったことがあって(それって自慢じゃないかーおーっ!)。想い入れがかなり強目なのである。

 

その代わりと言ってはなんなのだが。絵画や、詩や文学などを含めた「象徴主義」の(音楽ならワーグナーだな)、退廃の極致とも言える人工楽園的世界を味わうことができる手引書を紹介しておく。ジョリス=カルル・ユイスマンスの『さかしま』。訳者は澁澤龍彦。「象徴主義」の深い世界にどっぷりと入り込むことができる名著である。ページ数も多いし、簡単には読めないかも知れないが、興味があればたっぷりと時間をかけて読んで欲しい。因みに。余談だが、世紀末の挿絵画家オーブリー・ビアズリーは、この『さかしま』の主人公であるデゼッサントの書斎を模倣して自らのアトリエを創ったという。

 
せっかく『さかしま』を紹介したことだし、最後の最後にやっぱりギュスターヴ・モローの作品をいくつか挙げておくことにする。
 

■ファム・ファタールの象徴として描かれたサロメ。「象徴主義」絵画の代表作であり、モロー芸術の金字塔である『出現』【L ’apparition】。今回の記事のタイトルにもあるように、「眩い官能」が匂いたつ大傑作である。

■『出現』のサロメとほぼ同じポーズの、こちらもモローの代表作『ヘロデ王の前で踊るサロメ』。
 
 
 

そう、たまたまと言おうか。今、まさに東京の「パナソニック汐留美術館」において、『ギュスターヴ・モロー展~サロメと宿命の女たち』が開催されている(6月23日まで)。大阪でも7月13日~9月23日の期間、「あべのハルカス美術館」で同展覧会が開催される予定で(その後は「福岡市美術館」に巡回。10月1日~11月24日の期間)、しかも今回、紹介させてもらった『出現』が公開されているらしいので、とても楽しみでワクワクしている。

 

それでは。また、アデュー・ロマンティークニコ
 

 

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