再び小保方さん、つづき | texas-no-kumagusuのブログ

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トミオ・ペトロスキー(Tomio Petrosky、日本名:山越富夫)のブログです。

 

前回書いたブログ に以下のようなコメントが参りました。小保方さん問題で、このように考えている方がおられるのは日本の科学リテラシーの忌々しき現象ですので、私の反論を目に見える形で以下に残しておきます。そのコメント欄の返信で言い足りなかった部分を少し修正してあります。


名無しさんからのコメント:


1. 無題
 
むしろ翻弄されたのは若山教授や笹井教授の方ではないでしょうか。

実際、再現できていないのですから、擁護論には全く説得力はないでしょう。

小保方氏を擁護し続けても、日本人の科学リテラシーが未熟だとみなされるだけだと思います。

事実、欧米では世界三大不正事件に認定されたみたいですし。



私の反論:


見事に科学研究現場を知らない科学リテラシーが未熟な方の物言いですね。自然科学の偉大な発見は未熟ながらもキラッと光る常識破れの大胆な提案によってなされて来た物がほとんどです。始めの提案の段階では穴だらけであり、始めから完成された物はほとんどありませんでした。というよりも、始めから完成して提示できるような物が今まで誰も気付かなかった方が余程おかしいし、過去の科学者たちはそれほど間抜けではありません。


そしてその面白い提案が出るといよいよ他の科学者たちによって検証が始まり、未熟な穴を埋める長い時間を掛けた作業が始まります。そして大抵の場合、その提案が間違っていたと言う結論になります。だから滅多に正しいとされる提案が出ない世界であるにもかかわらず、正しくて大胆な提案に行き当たった人は、多くの科学者たちからその幸運を羨望され、また、滅多に出せないノーベル賞などを授与されて賞賛されるのです。実際、私の専門の物理学の分野でも、論文の数は毎年何万部ないし何十万部も出ているのですが、その中で重要な賞をもらえるのはほんの数部です。


また、今まで誰も気が付かなかった面白い提案は、たとえそれが間違っていたとしても、そのどの部分が間違っていたのかが明らかにされると、その反省のもとに新しい知見が得られるので、間接的とは言え、矢張り生産的な役割を演じています。だからまともな科学者たちは間違いに寛容です。その寛容さが科学を前進させてきたことを知っているからです。だから、ある意味、論文の世界は間違った提案だらけであり、そんな間違いで翻弄されてしまうような柔な世界ではありません。


若山教授や笹井教授らが翻弄されたのは自分たちで仕組んだ鳴り物入りの政治的な記者会見が裏目に出てしまったからです。だからそれを仕組んだ指導者や上司は自業自得ですが、それに踊らされた科学の世界に入りたての小保方さんは彼らや理研の政治的魂胆の被害者です。


科学の世界で日常茶飯事の間違い論文を一々「世界?大不正事件」に数えていたら三大どころではありません。そもそも、貴方の言う指摘では、具体的な指摘者の名前を出さずに「欧米では」とか、科学の世界にはあり得ない「認定」とか、ご自分でその根拠を示せない「みたいです」とか、情報操作のために無責任で悪意のあるマスコミが使うプロパガンダの典型的な言葉のオンパレードですね。


もし貴方がこのプロパガンダの当事者でなかったとしたら、プロパガンダに簡単に踊らされないようになり、今回の事件により、面白くて生産的な科学研究現場の実際を認識して科学リテラシーを手に入れられますようにお祈り申し上げます。