「脳メンテナンス」(タラ•スワート著 土方奈美訳 早川書房) 

精神医学の医師である著者はこの本のはしがきの最初に自身

確信していることとして

「私たちには意識的に自らの脳の働きを変える力がある」と

言っています。

 

自身のこれまでの研究と体験に基づき、「脳を最高の状態に

する方法」がわかってきたそうです。

350ページの本でその方法を学んでいきたいと思います。

 

はしがきには以下の文もあります。以下転載。

 

「(人類は)脳内の比較的新しい合理的部分が大きくなるに

つれて、高度な会話能力と、将来を予測し、計画を立てる

能力が発達していった。

 

人類が論理的になり、コミュニケーションができるようになり、

一段と大規模な集団で暮らすようになると、会話は増える一方、

感情は軽んじられるようになった。

 

感情よりも論理や事実を重視し、生存競争に血道を上げるように

なった。

 

それまでの進歩を支えてきた豊かさの感覚は失われ、万人に

行き渡るだけの資源があるという意識も失われた。

 

運命との向き合い方も変わった。

 

運命は『コントロール』するものになり、『他人よりも豊かに

なる』ことが目標となった。

 

焚き火を囲んでともに物語を聞いたり、星空を見つめたり、

自然の中を素足で歩いたりといった、シンプルな生活や

自然とのつながりを失った。

 

そして田畑を耕し、産業を興したが、そこでは協力し合うことや

平和的共存よりも権力や地位が重要な意味を持つようになった。

 

私たちはありのままに『いる』存在から、たくさんのことを『する』

存在になった。それはある種の『自動運転』のような状態で、

スウィッチを切ることはできなくなった

 

それから何千年か経った今、わたしたちは論理ばかりが重視され、

感情は弱さとみなされ、直感に基づく判断が入り込む余地は

ほとんどない世界に生きている。

 

原点を忘れてしまった。

 

進化の転換点に至るまで導いてくれた大脳辺縁系を無視し、

大脳皮質をひたすら崇(あが)める。

 

深み、情熱、直感といったものを軽視し、表面的な能力に

頼るようになった。

 

たとえば試験、丸暗記、取引に役立つような能力で、いずれも

真の喜びよりも物質的利益と関わりが深い。

 

人生はストレスでいっぱいで、忙しすぎて自分が何者なのか、

どこへ向かおうとしているのか、何を求めているかを考える

余裕もない。

 

テクノロジーは今、人間の心と体を予想もつかないほど

変えようとしている。私たちはいままさに、そんな巨大な

変化のとば口にいる。」

 

引用が長くなりましたが、現在の私たちの姿を的確に表して

いると思います。

 

まず、私たちの立ち位置を自覚しておく必要があります。

 

私たちは「いる」存在から「する」存在になったって、

ズバリですね。

 

今の私たちはいるだけではダメで、何かを成してその結果

メリットがないと認められません。

 

そのためにいっぱい情報に目を通しメリットになりそうな

ことを探します。

でもそれらのことが自分の真の喜びにつながらないので

次に向かう。

そんなことのくり返しでは疲れてしまいます。

 

今、精神的に病んだ人が増えてるようですが、実際私も

周りで心に不調を来したひとのことを多く聞くように

なりました。

 

今の社会の変化に対応できなくて病んでいく人が

増えているのですね。

 

この本には自分で自分の脳に働きかけて自分を変えていく

ヒントが書いてあるはずです。

 

そう、自分を変えていくのはあくまでも自分であって、

AIや何かには変えてほしくありませんから。