第5章では、「ゲーム世界から子供を奪還する」として、
ネット依存が取り上げられます。
今現在ネット依存が疑われる中高生は100万人以上いると推測
されています。
2019年にWHOが、ゲームによって日常生活に問題をかかえる
のを「ゲーム障害」という疾患として認定しました。
その結果、ネット依存の回復に取り組む財団の相談窓口には
依存症に苦しむ人からの相談が増加しています。
相談内容としては次のようなことがあります。
・ ゲームで子供が多額の課金をしてしまった
・ 家に引きこもって学校に行かなくなった
・ Wi-Fiを切ったら暴力を振るうようになった
・ ゲームやSNSによって見知らぬ人との間にトラブルが起きた
・ 誘い出しによって性犯罪に巻き込まれた
・ 食事をしなくなってやせ細ってしまった
その財団の、自らも過去にゲーム依存の当事者だったあるスタッフに
よれば、ゲーム依存への大きな理由の一つに現実逃避があるようです。
自分の過酷な現実から逃れてゲームの世界に入れば、その世界で
つながる人たちから認められたり称賛されたりもするので、そこが
居心地のいい場所になります。
それは2つの点で子供から言葉を奪うことにつながります。
1つ目は、つらいリアルの世界からの逃避は、彼らが現実世界で
抱えている問題を言葉によって考え、解決するのを放棄してしまうこと。
2つ目は、ゲーム世界では単純で乱暴な言葉を使ってばかりで、
他者との関係構築のために適切な言葉を使うことが極端に
少なくなっていることです。
それが続くと、借金が膨らんでも、健康が悪化しても何とも
思わなくなり、現実世界のことはどうでもよくなるようです。
大人になってから依存症になる人は、その前の何かしらの
生きる方法や成功体験を持っているので、ゲーム依存からの
回復は困難でない場合もありますが、子供の頃から依存症に
なると、依存症から回復しても自分には何もないことに
気づかされ、逆戻りもあるようです。
ゲーム依存からの回復を目指す病院では、子供たちの
コミュニケーションの回復を医師、看護師、公認心理師、
作業療法士、精神保健福祉士などの専門家たちが治療プログラムを
進めていきます。
先ず入院生活に慣れさせ、三食取って適度な運動をする正常な
生活習慣を取り戻します。
その後、言葉を使わなくても済むカードゲームや簡単な連想ゲームで
徐々に言葉を取り戻させます。
そして、社会に出た時の状況を設定してどうすればうまく生きて
行けるのかを一緒に考えていきます。
同時に工芸などの体験をさせながら、自己肯定感が抱けるような
取り組みをします。
それらを子供たちのそばに寄り添い、子供たちが言葉を発する
手助けをしながらコミュニケーションを広めていきます。
ゲームの世界という居場所しかなかった子供たちに他の場所でも
他者とのつながれる居場所があることを体験させていきます。
その子供の居場所が無いということは、周りにその子のことを
ちゃんと見てくれる大人がいないということだと思います。
子供がゲーム依存になる背景には、私たち大人が子供のことを
ちゃんと見ていない現実があるのですね。
さて、あなたはゲームについてどんな認識ですか?
それについて、多くの依存症の患者を抱える病院の院長さんの
指摘が紹介されています。
次回取り上げたいと思います。