「100年の100人」にはもちろん政治家も何人か登場します。
例えば、岸信介は孫の元総理である安倍晋三が、吉田茂は
やはり元総理の麻生太郎が語っていますが、はっきり言って
つまらない。
二人ともそれぞれの政治家としての業績を語っています。
身内なので致し方ありませんが、それでは人物としての
岸信介や吉田茂の魅力がわからないんです。
吉田も岸も大変な時代に舵取りをした政治家です。
それだけに、身内のものにしかわからない魅力を語って
ほしかったなあ。
それに対して元宝塚市長の中川智子さんが語った野中広務
には今の政治家からは感じられない人としてのすばらしさを
感じます。
野中は、自分が初めて沖縄を訪れた時に乗ったタクシーの
運転手が「妹は日本軍に殺された」と泣く姿を見て、
沖縄の人たちの悲しみに寄り添うと決心したそうです。
被災者生活再建支援法やハンセン病患者の国家賠償訴訟で
当時社民党の代議士だった中川さんの相談に乗り、党を
越えて力を貸してくれたそうです。
中川さんには、「君は、票にもお金にもならない仕事に
取り組んでいる。光の当たらない人に手を差し伸べるのが
政治家だ。君の応援をしたら、僕もいい仕事をしたと
思えるんだよ。」と言ってくれたそうです。
よく、「○○である前に、一人の人間として」という
フレーズが使われますが、野中は政治家である前に
一人の人間として、そのことを何よりも大切に活動も
したのでしょうね。
今の政治家を見てると、権力闘争が一番大事で、その前に
コロナ対策のことを言っておけば国民は納得するだろう、
というふうにしか思ってないのではないか、
そう思うのは私だけでしょうか?
個人的な魅力という点では、田中角栄が一番でしょう。
「角さん」のような呼ばれ方をする政治家は思い出せません。
文春にはもと秘書の方が角さんを語っていますが、
政治家としての能力はもちろん、特に地元新潟の大豪雪地帯で
暮らす人たちの生活を一番に優先する地元愛も強く、
秘書たちへの情も深かったと語っています。
一番近くにいた人の証言なので貴重です。
その地元愛が日本への愛とつながり、「ブルドーザー」と
言われるほどの熱量と行動力で日本を引っ張っていった
のですが、それだけにその功罪はいろいろ言われてます。
石原慎太郎さんが政治家のころ田中角栄を批判してきたにも
かかわらず、晩年「天才」という小説で田中角栄を描いたのは、
やはり角さんには人としての魅力がいっぱいあったのでしょう。
今の時代、それだけのリーダーシップのある人は出てこない
でしょうかねえ。