23人の命奪った「白い石油」の惨事…バッテリー大国の韓国にマニュアルもない

京畿道華城市のリチウム電池製造業者アリセルの工場火災の状況が映った内部防犯カメラ画面。[読者提供]
 
 京畿道華城市(キョンギド・ファソンシ)で発生したリチウム電池工場火災から1日が過ぎ人災の状況が相次いで明らかになっている。2日前に不良品のバッテリーの爆発火災が発生したのに通報もしておらず、大量に積まれたまま包装作業を継続した企業の安全不感症、過去に何回もリチウム電池火災が発生したのに政府の火災安全管理基準すらなかったことが代表的だ。その結果、移民労働者18人を含む23人が連鎖爆発で広がった火炎から逃げる間もなく命を失った。
 
 リチウム電池はスマートグリッド(知能型電力網)だけでなくモバイル・電気自動車時代になくてはならない「白い石油」と呼ばれるが、今回の事故でバッテリー主要生産国の韓国が安全脆弱国の素顔を表わしたという指摘も受ける。ニューヨーク・タイムズが「韓国は先端技術と製造業で有名だが長く火災などの人災で疲弊している」と書いたほどだ。重大災害処罰法施行2年6カ月ぶりに過去最多の人命被害を出した化学事故が発生し自ら示した格好だ。

◇独自点検後「良好」通知…事故2日前の火災通報せず
 警察と消防によると、まずアリセルの工場は消防当局の重点管理対象に含まれていなかったことが明らかになった。この会社は4月の独自消防施設点検後に「良好だ」と当局に通知した。火災予防法上、工場の場合、延べ面積3万平方メートル以上だと重点管理対象になるが、アリセルの工場は延べ面積5530平方メートルだ。重点管理対象の場合には消防特別調査や点検を受けるが、アリセルは年1回以上、消火器、自動火災探知設備、避難誘導などの異常がないかを自らの点検結果だけ報告すれば良い。

 アリセルは事故2日前にもリチウム電池で火災が発生したのに通報していなかった。警察などによると、第2棟1階で作業者がバッテリーに電解液を注入していたところ、温度が急上昇して火事が起こった。今回の事故で死亡した女性従業員の夫は、妻とやりとりしたメッセージを公開しながら「当時工場に煙が出て警報音が2回ほど鳴って従業員が慌てたと伝えた。その時措置をしていたならば…」となげいた。アリセルのパク・ジュンオン本部長は謝罪会見で「22日にも火災が起きたことを認める。ただ作業者が不良品を見つけて措置する過程で火事が起こり、適時に鎮圧され問題がないと判断して通報しなかった」と釈明した。
 また、京畿道によると、アリセルは2019年にリチウムを基準より23倍超過して保管し摘発され罰金を払った履歴があった。2020年には消防施設作動不良が摘発され改善命令を受けている。火事が起こった建物では消火栓と小型・大型消火器を合計2台だけ備えつけていたことが明らかになった。

◇爆弾のようなリチウム、一般化学物質に分類…マニュアルも消火器もなく
 火災被害を増やしたリチウムに対する政府次元の管理マニュアルもないことが明らかになった。リチウムは自然発火性と禁水性属性を持つ金属物質のため、高温・高圧や水分など特定の外部環境にさらされると簡単に爆発を起こす。だが化学物質管理法が定めた基準によって管理しなければならない「有害化学物質」ではなく「一般化学物質」に分類される。
 環境部によると、リチウムは直接火で加熱したり分解したりしなければ常温で酸素と結合しても発火する可能性が低く、物質自体の毒性などが確認されていないという理由で規制対象から除外されている。このため取り扱い者安全教育や定期検査など別途の安全基準がない。消防当局の「化学事故危機対応マニュアル」からも抜けている。
 

 リチウムは火災発生時に通常の粉末・窒息消火器では消火が難しいが、消防法では金属火災は火災類型に分類されず専用消火器が事実上ないという。消防施設関連法令上、火災は一般火災(A級)、油類火災(B級)、電気火災(C級)などの類型で分類し、消火器具(薬剤)安全技術基準もこの類型により開発するためだ。実際に火災当時の防犯カメラ映像には従業員が一般消火器で消火を試みて失敗した姿が映っていた。
 また、出入口側にバッテリー3万5000個を箱ごと積み上げて被害を増やした。従業員は火を避けようと出入口と反対側に走って行って被害に遭った。韓国産業安全保健公団の「水反応性物質の取り扱いと保存に関する技術指針」は、「リチウム金属を分離しされた部屋や建物に保存せよ」と規定しているが法的拘束力はない。

 

 これと関連しアリセル従業員は中央日報に「最近勤務者が普段より2倍に増えた。中東の軍納リチウムバッテリー注文が増加したらしい」と話した。
 火災が発生した3階の作業場はアリセルの軍納用一次電池の完成品を検収し包装する所だ。過去にも軍用リチウム電池爆発事故は多かった。韓国産学技術学会によると、2020年までの10年間に陸軍だけで95件の電池爆発事故があった。2019年の世宗市(セジョンシ)の陸軍補給倉庫火災が代表的だ。2022年のSKC&Cデータセンター火災もリチウム電池から始まった。

◇「安全な物質」と考える安全不感症…「管理基準、マニュアル必要」
 リチウムに対する規制が緩いのは比較的安全な物質と考えられるためだ。今回の爆発・火災を起こした一次電池に対する安全不感症も問題だ。又松(ウソン)大学消防防災学科のイン・セジン教授は、「二次電池の場合、携帯電話やノートパソコン、自動車によく使われ一般の人たちも爆発や火災の危険性に対する認識がしっかりしているが一次電池は危険性を見逃す側面がある」と指摘した。
 専門家らはいまからでもリチウム電池に対する安全管理基準とともに事故発生時の水での消火が困難な特性を考慮した火災対応マニュアルを用意すべきと指摘する。イン教授は「リチウム電池は火災鎮圧が難しいだけにバッテリーを小分して保管し定期的な作業者教育など予防策が最善」と話す。

◇韓国人5人など死亡者23人確認…会社関係者5人立件
 消防当局はこの日、第3棟2階通路から行方不明だった遺体1体を収拾し死亡者23人を全員確認した。犠牲者のうち韓国人は帰化した中国同胞を含め5人、外国人は中国人17人、ラオス人1人と確認された。女性が17人、男性が6人だ。警察が当日の勤務者名簿などに基づいて追加で身元確認を経て国籍などを再分類した結果だ。事故の正確な原因を究明するために行われた現場合同鑑識はこの日正午から約4時間10分にわたり進められた。前日収拾された遺体死体22体はこの日午後1時から国立科学捜査研究院で解剖検査が行われた。
 警察はアリセルの親会社であるエスコネクトのパク・スングァン代表ら工場関係者5人を業務上過失致死などの容疑で立件し捜査に着手した。パク代表に対しては重大災害処罰法違反容疑も適用された。
 

 

華城リチウム電池工場火災の外国人死亡者、18人全員「違法派遣」疑惑=韓国

 
華城の一次電池企業アリセルの工場火災事故現場。キム・ジョンホ記者
 
 京畿道華城市(キョンギド・ファソンシ)で24日に発生したリチウム電池工場火災の死亡者23人のうち18人が外国人移住労働者と確認された。彼ら全員が会社の直接雇用労働者ではなく人材派遣業者が派遣した労働者だった。一部でコスト削減に向けた「危険の外注化」が被害を増やしたという指摘が出る理由だ。雇用労働部はこの事業所が労働者の派遣を受ける過程で違法性がなかったか確認を進めている。
 
 人材派遣業者メイセルの関係者は25日、中央日報との通話で事故が起きた電池メーカーのアリセルとの関係について「われわれは請負業者ではなく派遣手数料だけ得て人材を提供する派遣業者。業務管理監督はいずれもアリセルで行い、われわれはアリセルの工場に行ったことはない」と話した。彼は「死亡した外国人18人全員がメイセルの所属」と話した。

 メイセルは1カ月ほど前の5月7日に一次電池製造業を事業目的として設立、登記した業者だ。この業者の所在地は火災発生現場であるアリセル工場第3棟2階の包装作業場だった。アリセルがメイセルを通じて派遣形式で人材派遣を受けたのではなく、社内下請け業者の体裁を整えるためのものとみられる。
 メイセル関係者は、4月までは「ハンシンダイヤ」という業者名で人材を供給したと話した。彼は新たな会社を作って住所地をアリセルの作業場としたことについて「だれでもそのようにする。なぜなら労働者派遣許可を受ければひとまず手続きも難しく労働部の点検も多いからだ」と説明した。
 
 法務部などによると、中国人17人、ラオス人1人の外国人死亡者のビザは在外同胞(F4)ビザが11人、訪問就業同胞(H2)ビザが4人、結婚移民(F6)ビザが2人、永住権(F5)ビザが1人と確認された。F4ビザとH2ビザは在外同胞が主に発給を受けるビザで、死亡者のうち多くが在中同胞であることと関連する。
 雇用労働部によると、事業所がH2ビザの発給を受けた外国人を雇用するためには「特例雇用許可」を受けなければならない。製造業、建設業、農畜産業など一部業種と、従業員300人以下あるいは資本金80億ウォン以下の事業所などに限り特例雇用許可が可能だ。アリセルの資本金は250億ウォンで基準を超過している。
 これに対し雇用労働部関係者は「アリセルとメイセルいずれも特例雇用許可を受けていないものと確認された。H2ビザを持っている移住労働者は合法な滞在資格を持っているが、会社が違法雇用あるいは派遣をした形態」と指摘した。

 しかしこの日アリセルの親会社であるエスコネクトのパク・スングァン代表は事故現場で会見し、「アリセル火災事故と関連し多くの人命被害が発生してとても残念に思い、何より不慮の事故で故人となった方と遺族に深い哀悼と謝罪を申し上げる」としながらも、「だが違法派遣はなく、安全教育も十分だった」と話した。

 コスト削減と責任所在回避に向け、単純労働を派遣形態の雇用で埋める慢性的な雇用実態が被害を増やしたという指摘も出た。公益人権法財団「共感」のファン・ピルギュ弁護士は「H2特例雇用許可業者ではないのに雇用をする形態ではなくても多くの事業所で中間に派遣業者が関わっている場合が多い」と話した。
 法務法人ウォンゴクのチェ・ジョンギュ弁護士は「安い労働力に中毒となった韓国の産業現場に起因する人災。派遣労働者法によると派遣できる業務は特定されているが、バッテリーを包装する単純業務でこれに該当しない」と指摘した。その上で「直接雇用すべき人材を派遣形式であれ下請け形式であれ違法・便法雇用したもの。アリセルとメイセルが元請けと下請けの関係ならば同じ建物でアリセルが管理監督を引き受けた状況がみられ、偽装下請けの可能性が大きい」と説明した。彼は「日雇い・短期労働者は安全教育や非常時の備えに弱くならざるをえない」ともした。
 中央事故収拾本部のミン・ギルス中部雇用労働庁長は「現在派遣者らがどのような形態でどこの所属として勤務したのか確認している。その上で産業保健法・重大災害処罰法違反の有無を調査する予定」と話した。
 ファン弁護士は「徹底した事故原因究明と同時に移住労働者遺族支援が重要だ。入国便宜を図る一時的な支援も良いが、これを超えて死亡者の身元確認と事故原因分析まで長い時間が必要になるだろうが、この期間に移住労働者遺族らが韓国国内で安定的に居住し情報提供を受けられるようにすべき」とした。
 
 お隣さんで23人の犠牲者を出したリチウム電池工場火災。
 
 犠牲者の方々のご冥福をお祈り申し上げます。
 
 まあ、韓国らしい安全を度外視した工場運営が、被害を大きくしたことは間違いないな。
 
 ①アリセルに過去にリチウムを基準より超過保管し摘発されたことがある。消防施設作動不良で改善命令を受けていた。
 ②事故の2日前にもバッテリーの爆発火災が発生していたのに、消防へ報告していなかった。
 ③非常出入口に商品を積み上げて避難を困難にしていた。
 ④金属用消火器が一つもなかった。
 ⑤というか、国にリチウムの管理マニュアルがない!!
 ⑥亡くなった中国人はすべて中国内の朝鮮系民族であり、違法派遣だった。
 ⑦違法派遣した会社は工場の子会社であり、コストを安くするためにこのような雇用が常態化していた。
 
 まあ、ざっとこんな感じ・・・
 
>ニューヨーク・タイムズが「韓国は先端技術と製造業で有名だが長く火災などの人災で疲弊している」と書いた
 
 今更だけど・・・
 
 キミらは安全というコストが係ることを無視して経済成長してきたわけだからね~。
 
 大規模災害が起きるたびに、
 
 <#`Д´> 「人災ニダ!マニュアルを守らなかったニダ!」
 
 って騒ぐけど、まるで成長しない民族だよな。