ボーリング孔1か所に112億円…韓国政府、1機関に検証を依存
専門家「普通は複数機関に依頼」
公社「1機関のみに依頼するケースもある」
アブレウ博士、5日訪韓…「碩学ではない」
尹錫悦大統領は3日、ソウル龍山の大統領室庁舎ブリーフィング室での国政ブリーフィングで、東海の石油・ガス埋蔵について発表した。写真は同日のブリーフィングで公開された、有望構造導出地域の表示されたイメージ/聯合ニュース
政府が3日に、石油・ガスの有無を確認するために、1カ所掘る度に1000億ウォン(約112億円)以上の予算がかかる「ボーリング調査」に乗り出すことを発表したのは、140億バレル相当の石油・ガスが慶尚北道の東海(トンヘ)に面する迎日湾(ヨンイルマン)一帯に埋蔵されている可能性があるという米国アクトジオ(ACT GEO)のデータ分析が決め手となった。
しかし、一つの専門機関の分析に過度に依存して、かなりの費用がかかる開発事業の開始を決めたのではないか、との声があがっている。
まず、政府と韓国石油公社がアクトジオのみに深層分析を依頼したことが批判の的となっている。分析の信頼度を高めるため、複数の機関に任せるべきだったというわけだ。
エネルギー資源工学を専攻するある教授は4日、ハンギョレの電話取材に対し、「普通は外部の複数の機関に(分析を)依頼する」と語った。匿名の地質学専攻の教授は、「アクトジオだけに(石油公社が分析を)依頼したのは事実か」と問い返してきた。
海底の地質と資源探査を専門とする国策研究機関である韓国地質資源研究院は、今回のプロジェクトに参加していない。石油公社が収集した基礎データの分析はもちろん、アクトジオがおこなった分析の検証作業にもかかわっていない。同研究院の匿名の関係者は、「これまで様々な資源探査プロジェクトに石油公社と共に取り組んできた。今回は政府発表を見てはじめてこのようなプロジェクトがあることを知った」と話した。
これについて石油公社は、「1つの機関だけに分析を依頼するケースもある。今回のプロジェクトの場合は深海専門の分析が必要だったため、アクトジオに任せた」と語った。産業通商資源部は、「深海専門分析機関は多くない」と述べた。
一方、石油公社はこの日、アクトジオと同社を率いるビトール・アブレウ博士についての説明資料を発表した。オンラインで、アクトジオと同社のオーナーであるビトール・アブレウ博士の専門性に対する疑問が広がっているためだ。
石油公社の資料によると、アブレウ博士は米国のエネルギー企業エクソンモービルで地質グループ長を務め、深海鉱区の評価を主導した30年の経歴を持つ専門家だ。エクソンモービル在職時には、最大の深海油田である南米ガイアナの鉱区の探査作業に主導的にかかわった。アクトジオの社員もエクソンモービルやシェルなどのグローバルメジャー石油開発企業の出身者で、深海探査分野の専門性がある、というのが公社側の説明だ。また「アクトジオは様々な経歴の専門家たちがアブレウ博士を中心にプロジェクト単位で協業するかたちで働いている」と石油公社は強調している。
米国堆積学会の韓国アンバサダーを務めるソウル大学のチェ・ギョンシク教授(地球環境科学部)はハンギョレに、ビトール・アブレウ博士を知っていると述べてから、「アブレウ博士は地質探査分野の碩学(せきがく)ではないが、この分野での経験が多いのは事実」だと語った。アブレウ博士は5日に訪韓し、政府と石油公社の関係者に会うことになっている。
迎日湾石油を分析した米国の専門家が5日にも訪韓
4日、政府関係者によると、アブル博士は早ければ5日にも韓国石油公社とともに記者会見を開く予定だ。アブル博士は東亜(トンア)日報に「韓国石油公社と秘密保持協約を締結しているため、技術的な面については答えられない」としながらも、「今週中に石油埋蔵の可能性について提起されたいくつかの質問に答えるために石油公社の経営陣と協議する」と述べた。
韓国石油公社は昨年、東海(トンヘ)岸沖の深海探査資料の分析を同氏に依頼した。政府関係者は「アブル博士は資源物理探査解析の権威で、大手石油精製企業のエクソンモービルで高位エンジニアとして長い間働いた人物」と話した。
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